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太輔は唇からずらして、頬にキスを落とすと、
「…A、熱がある感じ?」
なんて言いながら、眉をひそめる。
「そうかな?
別にそんな感じしないけど。」
心配性の太輔はベッドの明かりを点けて、体温計を取りに行ってしまう。
「とりあえず計って。」
って…、なかなかの過保護ぶりだね。
私自身、自覚症状も何もないのに。
だけど体温計は37℃を指し、太輔は難しい顔をして、
「今日はおとなしく寝てろ。」
って、毛布まで引っ張り出してきた。
「37℃で熱って、大袈裟だよ。」
「そう?
Aはいつも体温低めだし。」
「…A、最近、生理来てる?」
「何で?」
「なんとなく。」
なんとなく、そんなこと思う?
枕元に置いていたスマホでスケジュールのアプリを開けば、もう1ヶ月以上生理が来てないことに気付く。
「…あ。」
私が声を漏らせば、太輔はスマホを覗き込んできて、
「やっぱり…。」
って言葉を濁した。
「まだ開いてる薬局があるから、今から行ってくる。」
太輔は終始冷静で、すぐに近くの薬局で検査薬を買ってきてくれた。
そして今、検査薬の反応を2人で確認するところ。
太輔はやっぱり冷静に、箱から検査薬を取り出す。
「…線が2本出てるけど。
これってどういう意味?」
「わかんない。」
太輔は箱の裏の説明書きを読んで、それきり、黙り込んでしまう。
「何?」
「…A、妊娠してんじゃん。」
ようやく箱から顔を上げた太輔は、
蕩けるような笑顔で私の髪をくしゃくしゃとかき混ぜた。
「だから最近、Aは変なことばっかり言ってたんじゃない?」
「変なことなんか言ってないし。」
そう口答えしてみるけど、自分でも心当たりがあるかも。
太輔の気持ちを試してたようなところは、あったかもしれない。
「とりあえず、寝ろって。
しばらくは安静にしてて。」
って、やっぱり太輔は過保護だ。
きっと当分、1人で外には出してもらえないくらい、過保護にされちゃうんだろうな。
「Aと会ってから、なんか人生変わっちゃったかも。」
なんて言いながら太輔は、ベッドの上で私を壊れ物でも抱くかのように緩く抱き寄せる。
「A、あの時俺を拾ってくれてありがとう。」
「拾ってないよ。
飼ってあげてたんだよ。」
そう言えば、すぐに笑い出しちゃう意外な笑い上戸なところとか。
全部大好きだよ。
これからもずっと、私を過保護に扱ってね。
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あおこ(プロフ) - ああああああ永遠に続きを読み続けたい、、(yellow)ほど好きです。 (2020年4月19日 10時) (レス) id: 8d319b548e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ちびさん» ありがとうございます(*'ω'*)何度も何度もなんて、ありがたい!!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました。すべての完結までに時間がかかりましたが、私も書いていて楽しかったです♪ (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます。返信と更新がすっかり遅くなってしまいまして!申し訳ないです(/ω\)とうとう終わってしまいましたが、mmiiooさんの満足していただける話になっていたらうれしいです(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - どの回も大好きで、何度も何度も読み返してます。まだまだ、リピーターします。素敵な作品、ありがとうございました。 (2018年3月7日 22時) (レス) id: de8692953b (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - お祖母ちゃんびっくらこいたよね。気まずい!わったーは信用されてたんだろうから、さてどうする? (2018年1月28日 13時) (レス) id: 59f57126ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2016年6月27日 23時