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「どこ行ってたの?」
「…内緒。」
「教えてくれないんだ?」
「Aが本当に反省してんのなら、教えてあげる。」
…って、今日の太輔は相当意地悪だね。
いつもなら、「教えてくれなくていいよ」って不貞腐れたら、太輔の方が折れて教えてくれるパターンなんだけど。
今日は本当に反省してるから、素直に謝っとく。
「ごめんなさい。」
「ほんとに反省してる?」
「してる。」
「じゃあ、教えてあげる。
Aが前に住んでたマンションの近くに行ってみただけ。」
「太輔が自転車置き場で頭をぶつけた、あのマンション?」
そう聞いただけで、太輔は笑い出す。
「そう。
なんか俺らの原点じゃん、あそこ。
それに、前から行ってみたいって思ってたんだよね。」
「太輔は私が住む何年か前、あの部屋に住んでたんだよね?」
「まあね。
でもその頃のことは、あんまり思い出せなくて。
忙しくて、あんまり記憶に残ってないんだよね。」
「でもあの部屋に、萌さんも来てたんだよね?
鍵を返してきたってことは。」
「来てたよ。
でも、あの部屋での萌との思い出は、ケンカの思い出ばっかりで。
あんまり思い出したくないものばっか。」
「それより、Aの部屋に住み始めた頃の記憶は強烈に残ってて。
すげー幸せだったから。
だから、行ってみたくなった。
今日はAに初めて腹を立てて、あのマンションの前まで行ってみて、いろんなこと思い出してた。」
「どんなの?」
「いろいろ。
今までの人生の中で、あの数カ月はありえないほど濃い記憶だったから。
すげー不安だったけど、バカみたいに幸せだった。」
いろいろあったよね、あの部屋で。
でも私は、今の生活の方が全然幸せだけど。
「だからあのマンションに行ってみたら、Aに腹を立ててた気持ちとか、すぐにしぼんでなくなっちゃった。」
「…じゃあ、もう怒ってない?」
「怒ってない。
だけど、これだけは言っとく。
もう、鈴木とコソコソ連絡を取り合うのはやめて。」
そう来たか。
別にコソコソしてたわけじゃないんだけどね。
ベッドに移動した太輔は、私を抱き寄せてこう言う。
「よかったね。
ちゃんとケンカできたじゃん、俺と。
でも俺はもう二度としたくないけど。」
「…当分は、もういいかな。」
「当分?」
「だってこれから、長い間太輔と一緒に過ごすんだよ?
またケンカすることだってあるよ。」
そんな私の言葉に、太輔はふわっと軽く笑うだけ。
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あおこ(プロフ) - ああああああ永遠に続きを読み続けたい、、(yellow)ほど好きです。 (2020年4月19日 10時) (レス) id: 8d319b548e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ちびさん» ありがとうございます(*'ω'*)何度も何度もなんて、ありがたい!!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました。すべての完結までに時間がかかりましたが、私も書いていて楽しかったです♪ (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます。返信と更新がすっかり遅くなってしまいまして!申し訳ないです(/ω\)とうとう終わってしまいましたが、mmiiooさんの満足していただける話になっていたらうれしいです(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - どの回も大好きで、何度も何度も読み返してます。まだまだ、リピーターします。素敵な作品、ありがとうございました。 (2018年3月7日 22時) (レス) id: de8692953b (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - お祖母ちゃんびっくらこいたよね。気まずい!わったーは信用されてたんだろうから、さてどうする? (2018年1月28日 13時) (レス) id: 59f57126ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2016年6月27日 23時