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1 LAVENDER -PURPLE- ページ22

私の彼はゲームクリエイター。

しかもゲーム業界では神と崇められるくらいの。

みんなが彼の新作を待ち望んでいる。

だけど、彼がゲームの企画や製作をしているのは、私のこの部屋の中である。

そして彼の仕事のスケジュールは、私の仕事のスケジュールとリンクしている。

私が仕事を終えてこの部屋に帰ってくれば、彼の仕事はそこで終了になるし。

私の休日は彼の休日。

たまに私が体調を崩して仕事を休んだりなんかすると、彼もその日は休日になる。

週に1、2度、打ち合わせに部屋を出る以外は、彼が1人でこの部屋から出かけることはない。








なのに、今日の彼は違う。

私の休日の土曜日の朝なのに、ベッドから早々に抜け出して、いそいそと準備なんかしちゃってる。

「ごめん、A。
急遽、打ち合わせが入っちゃって。」

本当に申し訳なさそうな表情で謝ってくるけど、なんだか楽しそうじゃん。

「…胡桃ちゃんでしょ?」

まだベッドの中にいる私は、ぶすっとしたままそう聞いてやる。

なのに俊くんは可愛らしい笑顔で、

「わかった?
なんか、忙しくて今日しか打ち合わせの時間取れないんだって。」

なんて返してくる。









最近の、俊くんの口から出てくるワードは、

「胡桃ちゃんが言ってたんだけどさー。」

「胡桃ちゃんもこれ好きだって。」

「胡桃ちゃんに教えてもらったんだけど。」

って、そればっか。

最初は「すごい!」って、純粋に思ってたよ。

でも、こうも「胡桃ちゃん」ってワードが頻出してくると、さすがの私も不貞腐れるよ。







「Aも来ない?打ち合わせ。
胡桃ちゃんが、Aに会いたいって言ってんだよね。」

支度を終えて、ベッドの端に座って、私の顔を覗き込んでくる俊くんにムカついて、頭まですっぽりお布団をかぶった。

「…行かない。」

お布団の中からくぐもった声を出せば、

「えー?
じゃあ、待ち合わせしない?
打ち合わせは昼前に終わるから、ランチしようよ。」

「…どこで?」

「秋葉原?」

やっぱりね。

胡桃ちゃんの事務所、アキバにあるって言ってたもんね。








「11時半にいつものとこで待ってるから。
じゃあ行くね。」

って、布団の上から私をぎゅーっとハグすると、とうとう出かけて行ってしまった。

…腹立つ。

胡桃ちゃんと会うのが、そんなにうれしい?

俊くん、自分では気づいてないかもしれないけど、かなり嬉しそうだったよ。

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あおこ(プロフ) - ああああああ永遠に続きを読み続けたい、、(yellow)ほど好きです。 (2020年4月19日 10時) (レス) id: 8d319b548e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ちびさん» ありがとうございます(*'ω'*)何度も何度もなんて、ありがたい!!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました。すべての完結までに時間がかかりましたが、私も書いていて楽しかったです♪ (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます。返信と更新がすっかり遅くなってしまいまして!申し訳ないです(/ω\)とうとう終わってしまいましたが、mmiiooさんの満足していただける話になっていたらうれしいです(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - どの回も大好きで、何度も何度も読み返してます。まだまだ、リピーターします。素敵な作品、ありがとうございました。 (2018年3月7日 22時) (レス) id: de8692953b (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - お祖母ちゃんびっくらこいたよね。気まずい!わったーは信用されてたんだろうから、さてどうする? (2018年1月28日 13時) (レス) id: 59f57126ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2016年6月27日 23時

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