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なんかもう…、どこかに行っちゃいたいな。
1人になりたい。
とにかく、あの部屋で一人ぼっちで健永くんの帰りを待ってるだけなんて、なんか嫌なんだ。
ホテルの玄関を出たら、すぐにファミレスの看板の明かりが見えたから、そこに向かって歩き出したところで、
いきなり背後から、グイッと二の腕を掴まれた。
「どこに行くつもり。
てか、何?その荷物。」
ここにいるはずのない健永くんが立ってて、見たこともないくらいの怖い顔で私を見てる。
「…ファミレス。」
「ファミレスに行くのに、そんなに大きな鞄が必要なわけ?」
そのまま健永くんは荷物を奪い取ると、私の手を引いてホテルへ戻って行く。
エレベーターに乗っても、健永くんは繋いだ手を離してはくれない。
「健永くん、仕事なんじゃないの?」
「…仕事だよ。
でも、抜けてきた。」
「なんで?」
「藤ヶ谷さんからメールが来たから。
Aちゃんを今夜飲み会に連れて行っていい?って。」
なんで?
あの時ちゃんと断ったのに。
部屋に入ったら、
「ここ、座って。」
健永くんは威圧的に、窓際に置いてあるソファーを指差してくる。
…怒られるのかなあ。
私、そんなに悪いことしたっけ。
健永くんは私の向かいの椅子に座ると、意外に冷静な声で話をし始めた。
「藤ヶ谷さんから飲み会のメールが来て、「だめです」って送り返したら、「Aちゃん、だいぶ追い詰められてるよ」って返事が来て、心配になって会議抜けて戻って来た。
そしたら、Aちゃんがどこかに行こうとしてるから。」
「…ごめんね。」
「違うって。
ごめんって言わなきゃいけないのは俺だから。」
そう言って、健永くんは目を伏せてしまう。
「毎日毎日、1人にさせてごめん。
Aちゃんはわざわざ、仕事も辞めて知らない土地に来てくれたのに。
Aちゃんには俺しか話し相手がいないのに、毎日ろくに会話もできなくて。
本当にごめん。」
そう言って、いきなり頭を下げるから、私はなんか…、急に恥ずかしくなった。
「私もごめんね。
健永くんが仕事忙しいのもわかってるし、支えてあげなきゃいけないのに。
逃げ出そうとしてごめん。」
私も同じように頭を下げたら、
「やっぱ、逃げ出そうとしてたんじゃん。」
って、健永くんの声がいつもの優しい声に戻ったから、そーっと顔を上げてみたら、
いつもの笑顔で、私を見てる健永くんがいた。
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あおこ(プロフ) - ああああああ永遠に続きを読み続けたい、、(yellow)ほど好きです。 (2020年4月19日 10時) (レス) id: 8d319b548e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ちびさん» ありがとうございます(*'ω'*)何度も何度もなんて、ありがたい!!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました。すべての完結までに時間がかかりましたが、私も書いていて楽しかったです♪ (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます。返信と更新がすっかり遅くなってしまいまして!申し訳ないです(/ω\)とうとう終わってしまいましたが、mmiiooさんの満足していただける話になっていたらうれしいです(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - どの回も大好きで、何度も何度も読み返してます。まだまだ、リピーターします。素敵な作品、ありがとうございました。 (2018年3月7日 22時) (レス) id: de8692953b (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - お祖母ちゃんびっくらこいたよね。気まずい!わったーは信用されてたんだろうから、さてどうする? (2018年1月28日 13時) (レス) id: 59f57126ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2016年6月27日 23時