【赤羽業】転校生の時間・3時間目【暗殺教室】

評価の時間�� ページ32

「武道をやっているのに納得したのは、Aさんが謙虚だから。身体能力は高いけど…スポーツをやっていたとは思えなかった。


けど、謙虚でいるって難しい。加減を間違えれば奢りにも卑屈にもなる。

私は…Aさんのそれ(・・)は卑屈だと思った。相手のことはよく見えてても、自分の能力を正しく評価できていない。もったいないよ。」


メグが言い終えたその時、まるで頭を思い切り殴られたような感覚に陥った。


分かっているつもりだったのに、何も分かっていなかった。


勉強も運動も"それなりにできる側"の人間だと理解していた。
E組に来た本当のワケを話さないのもそれが理由だ。
そこを謙遜はしない。事実だから。


…だから自身を、自分の能力を正当に評価できる人間なのだと思っていた。



けれど暗殺についてはどうだ。身につけた力を言い訳をつけて、貴重な皆での実践の機会に使おうとしなかった。(今回は結局暗殺どころじゃなかったが)

そしてそれを周りで見ている子に教えられる始末。

正当な評価なんて全くできちゃいない。
自分に実力があることを認められていなかったんだ。


ーー期待されるのは苦手だし、怖い。
それでも、戦力になることから逃げるつもりなんてなかった。



けれど心の奥底では、きっと逃げようとしていたんだ。
皆が必死で暗殺に向き合っているのに、1人だけ背を向けてる。


みんなの役に立ちたい。その気持ちは本物のはずだったのに。


目にじわりと涙が滲んだ。
恥ずかしさと情けなさで。


身体を思い切り起こした。座ったままメグに向き合い、目を擦った。


「…うん。そうだね、そうだよね。
私、自分のこと何も分かってなかった。」


一度顔を上に向けて天を仰ぐ。油断してると泣きそうになってしまう。メグはただ黙って桜井が口を開くのを待った。


「次からの暗殺は参加する。もっとちゃんと…自分にできることとできないことを見つめて、先生を殺すための戦力になる。」


自分にも言い聞かせるように、一つ一つの言葉を丁寧に述べる。


「ごめんね。それと…ありがとう。」


「ううん。お節介だと思ってたから…そう言ってもらえて安心した。
私の方こそ、説教くさくなっちゃってごめん。」


説教癖、直したいとは思ってるんだけどと眉を下げてメグは言って、立ち上がる。差し伸べてくれた手をとって桜井も立ち上がった。



「メグちゃんって、本当に優しいね。」


「え？」


「ほら、帰ろ帰ろ！遅くなっちゃうよ！」

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