【赤羽業】転校生の時間・3時間目【暗殺教室】

実行の時間�� ページ26

「おやおや〜？さくらちゃん、今着ているそれは何かな〜？」

「中村さん。」

「あ、莉桜ちゃん。…って、さくらちゃん？」

教室への戻り道、ニヤニヤとしながらやってきた莉桜は耳慣れない呼び方で桜井に声をかけた。


「桜井だから、さくら。しっくりくる呼び方見つけちゃってさー！不味い？」

「…ううん！全然！莉桜ちゃんも漢字だけならさくらちゃんだよねぇ。」


名字の原形はかなり留めているが、あだ名なら違和感はない。それに、なんだか距離が近しい感じもする。

ーーちょっと嬉しいな。


「で、で！さくらちゃんが今着てるそれって、某赤羽カルマのカーディガン！」

「某とか言っときながら何も隠せてないよ⁉」


ついノリでツッコんでしまった。
言ってる内容はその通り。見ただけでよく分かるな…と思ったが、夏にもカーディガンを着る人自体が少ないか。


「さっきカルマ君がAさんに貸したの。」

「そーそー。ワイシャツがびしょびしょになっちゃってね。スマートに貸してくれたよ。」


男の子に服を借りるという体験は初めてなので(そうなるような状況に鉢合わせたこともないし)なんだか照れくさいが、それ以上にその気配りが心地いい。


「男の子に借りた服がぶかぶかになるの、女の子って感じでいいよね。ちょっと羨ましいな…。」

「あー、片岡ちゃんは長身だもんね。でも高校生になると男子っていきなり伸びるから、今は気にすることないよ。」


メグもそうだが、このクラスの女子は身長が高い子が多い。160いってる子の方が多数派なのでは？というレベルだ。莉桜もおそらくこっち側だろう。160弱の自分と目線はそんなに変わらないし。


「いやーそれにしても、スマートねえ。カルマもそんなことするんだ。
さぞかしカッコよかったんじゃないかな？んー？？」


「もちろん。こんなの誰がやってくれたってカッコいいでしょー！それこそ女の子だってさ！」


「…うーん手強い。もしかしてさくらちゃんって結構男に免疫ある？兄弟とかさ。」




ーー…あー。



まさかいきなりその話になると思っておらず、一瞬自分の時間が停止した。

ここで止まるのは会話として不自然だ。早く返事しなければと、この一瞬で乾いてしまった喉から音を発する。


「そういうのって分かるものなんだねー。正解！男兄弟が1人だけいるよ。」


笑顔の仮面を繕って答える。不意打ちとはいえ、日常に溢れる質問に硬直するなんて。




ーーこれはちょっと、これから先やばいかも…

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