【赤羽業】転校生の時間・3時間目【暗殺教室】

転校生の時間・3時間目�� ページ3

ーーあ、結構可愛い子だな…

笑顔を見た渚の素直な感情はコレだった。E組で美人といえば、大多数の人間が神崎が選ぶだろうが、皆の前に立つこの子は美人ではなく"可愛い"女の子だった。
ただ、殺せんせーと並んで壇上にいるから分かりやすいが、背丈は恐らく渚と変わらない。いや、なんなら自身より大きいかもしれない。少し複雑な気持ちで彼女の自己紹介に耳を傾けた。


「えー千葉の中学から来ました、桜井Aです！
殺せんせー？のことを初めて聞いた時は戸惑ったんですが…そんなこと気にしてもどうしようもないので、まずは暗殺とクラスに慣れるところから始めます！なるべく早く戦力になれるよう努力しますね！
まさか3年のこの時期に転校することになるとは思っておらず…ちょっと緊張しています。
1年にも満たない時間ですが、よろしくお願いします！」


彼女ーー桜井は笑顔で再び礼をした。教室に拍手が起こる。
多分、このクラスにいるほとんどの人が同じことを考えていると思う。


年相応の、まともな子だと。


もちろん第一印象だけで全てが決まるわけじゃない。けれど、"転校生"の基準が律とイトナになっていたE組にとっては新鮮だった。
それにやはりと言おうか、暗殺者として派遣されたわけではないらしい。
でも、それならば、

ーーどうして桜井さんは、E組に来たんだろう…


3年E組・通称"エンドのE組"は、この椚ヶ丘の落ちこぼれクラスだ。
椚ヶ丘中学自体は屈指のエリート校。だから転入試験に受かるのは相当難易度が高い。成績不良で転校生が落とされるなんてあり得ない。
成績不良者以外では素行不良とされた者もE組(ここ)に落とされるが…


「桜井さんの席は一番後ろ、奥田さんの後ろです。あそこですよ。視力は大丈夫ですか？」

「はーい、問題ないです。私、目は結構いいんですよー。」

奥田の後ろ、ということはカルマの隣でもある。
桜井はどこか楽しそうに自席へと向かった。先ほどと同じく、足元にあるBB弾を拾いながら。

「これから隣の席になります。よろしく、えーっと…。」

「赤羽業。カルマでいいよ。」

「分かった。よろしくね、カルマ！
ねえ、貴方の名前はなんていうの？」


まさかの呼び捨てである。杉野と同じ人種の匂いがする。
その調子で奥田にも話しかけている。緊張していると言っていたが、新しい環境でも臆しない子のようだ。
すぐクラスにも馴染めるだろう。


ーーまだよく分からないところも多いけど、仲良くなれるといいな…

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