肆拾 ページ40
「かま……炭ちゃん、荷物運ぶの手伝ってもらってもいい?」
私は竃門炭治郎こと、炭子ちゃんに話しかける。
昨日、ときと屋の女将が男前に負けて買ったと連れてきた竃門くんに思わず吹き出しそうになった。
「はい!手伝います!」
「プッ……お、お願いね…」
「ヒソ)ちょっとAさん、いつまで笑うんですか」
「ヒソ)だって、炭子ちゃんのあの塗りたくられた顔ったら……フハっ…」
竃門くんは笑う私を見て顔を赤く染め上げる。
笑いすぎて自然と出てきた涙を指で拭いながら「ごめんなさい」と形だけ謝っておいた。
「でも残念ながらときと屋には鬼らしき人物は見当たらなかった…私が思うに京極屋が怪しいと思います」
竃門くんに鯉夏宛に送られて来た荷物を大半持ってもらいながら話す。
「さっき俺、須磨さんが足抜けしたって話してるのを聞きました」
「きっと偽装ですね」
「はい、須磨さんはきっと鬼に連れ去られた」
考え込む竃門くんを思わず見つめる。
つい2ヶ月ほど前、竃門くんと蝶屋敷で会った。
竃門くんは私に会った途端、泣き出した。
"竃門くん?!どうしたんですか?どこか痛みますか?!"
"ち…違います。煉獄さんが…Aさんに…おめでとうって伝えて欲しいと…俺、なんのことかわからないけど…伝えるのが遅くなって…っ"
"…っ!…ありがとうございます。実は私、結婚したんです。煉獄さんに祝ってもらえて、とても嬉しいです。伝えてくれてありがとうございます"
私は竃門くんの肩に手を置いて、笑ってみせる。
すると竃門くんはしっかり涙を袖で拭くと
"俺、強くなります。煉獄さんみたいに!"
そう力強く言い放った。
居合わせた我妻くんと嘴平くんも、以前会った時とは比べ物にならないくらい逞しくなっていて、改めて煉獄杏寿郎が遺した軌跡はとても素晴らしい物だと実感した。
「竃門くん、宇随さんと私が接触するのは避けたいです。柱が二人も揃えば気づかれてしまうでしょう」
「はい」
「竃門くんが中継役です。宇随さんからなにか情報があったら、私にも伝えてください」
「Aちゃん」
私と竃門くん…もとい、炭子ちゃんは肩を震わせる。
振り返れば女将さんが立っていて、手招いている。
「どうしました?女将さん」
「今来てる商会のお役人さん、Aちゃんの舞が見たいって…頼める?」
「はい、ただいま。じゃあ、炭ちゃん、頼んだね」
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もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時