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参拾肆 ページ34

「きっとお前は素晴らしい剣士になるな」



昔、よく言われた言葉だった。
同じく、剣士である父から…。
その硬くて、大きくて、でも優しい手に頭を撫でられるのが好きだった。




「後継者の…輝哉様の力になるんだよ」



そう口癖のように言っていた父は、私が五歳の時に帰ってこなくなった。

その一年後、母も帰ってこなくなり、私は大量の書物と共に、産屋敷家に一度引き取られた。





"鬼殺隊"


その言葉は、小さな頃から耳に馴染んでいて
世間では認められてない鬼の存在も、私にとっては当たり前の存在で、倒すべき敵だった。

幼いながらも父と母がその存在に殺されたことはわかっていたし、鬼殺隊に身を置く両親から産まれたことを恨んだことはなかった。





「A、君は常に"呼吸"を使ってるんだね」



まだ十二歳の今とはまた違った優しい声の輝哉様のその言葉と共に、私が普通だと思っていたことは"普通"ではないことを知った。








.



「なにをなさってるんですか?」



何かを貪り喰うモノに語りかける。
ソイツは喰うのを辞めて、こちらを振り向いた。



「鬼狩り?お前を殺せばあの方に認めてもらえっ…!」

「なにをなさってるか…お伺いしたのですが」



鬼は一瞬のうちに見失った私が、すぐ後ろに立っていることに驚き、前方に飛び退いた。




「くそっ…!殺す!殺す殺す!」

「こんなに喰い散らかして…、誰が片付けると思ってるんですか?」

「お前もそうなるんだ!」

「頭と身体が離れてしまってますが、飲み込めるのですか?」



私の言葉に鬼は「え…?」と顔を触る。
手が当たったことで、乗っかっているだけになっていた頭は地面に落下してしまう。




「嫌だ…死にたくないっ…」

「可哀想に…きっと貴方が食べたこの女性も、同じことを思っていたでしょうね」




そう微笑みかけると鬼は目を見開き、涙を流しながら塵となり風に吹かれて飛んでいく。









___私は、7歳の頃から鬼を殺し続けている。

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もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時

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