参拾伍 ページ35
「なにを考えている」
彼、冨岡義勇は寝巻きから覗く私の右の首筋に後ろから顔を埋めながら問う。
冨岡を壁のように使い、もたれかかっていた私は左手を目の前に持ってくる。
「私は誰よりも早く剣を握ったのに、誰よりも弱い……、そんな自分を
「お前は弱くない」
私の左の手のひらから手首にかけて、柱合会議でつけた傷がまだクッキリと残っている。
恐らく消えないだろう。
冨岡はその傷を撫でるように触れ、彼自身の手で私の手を包み込む。
「義勇さんこそ…なにを考えていらしたんですか?」
「…これからのことだ」
「これから…?」
首筋に当たる冨岡の少し硬い髪がくすぐったい。
左手は繋がったままいつの間にか重力に伴って床に投げ出されていて、私は空いていた右手で、冨岡の髪を撫でた。
「お前と…あまりにも会えない日が続くことが多い…」
「お互い…柱ですからね」
「
普段、口下手な彼は、ここまでハッキリと考えを口にすることはないので珍しい。
思わず「寂しいんですか?」と笑いを交えて、からかうように言ってしまう。
尚も冨岡の頭を撫で続けていた右手が、左手同様、彼の右手に捕まってしまう。
「せめて帰る場所が同じであれば、共に過ごせる時も多くなる」
私は目を見開いて、完全に預けていた上体を起こし、顔だけ振り返る。
両手が捕まってしまっているので顔しか振り返れないが、そこにはいつもの無表情の冨岡義勇がいた。
「A」
私はこの言葉を聞いてしまっていいのだろうか。
この言葉を聞けば、引き返せなくなる。
そんな気がしていたのに、私は彼の言葉を待つ。
「夫婦になろう」
422人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時