虚言中毒者 ページ1
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「
人間が人間でなくなろうとする努力である」
女性は凛と自嘲するが如く口遊んだ。
至極楽しそうな声とは裏腹に目は空虚にしがみ付く正に
ふふッと鼻を鳴らし、
傲慢な態度を取れど彼女はその行動してさえも自分には意思がないようなそんな空想までも抱いてしまうのだ。
「楽しい」
彼女の言葉に誠は無い。
どれも虚言である。
だが、それも彼女の弱い心を被さる南京錠の役目をしているのだ。
然り、虚言というものは救いである。
彼女に虚言という
突飛な行動を取るだろう。
どんな行動を取るのかそれは筆者にも理解出来かねる。
行動とだけ明言しよう。
さっき、虚言を救いと書いたが些か語弊のある言い方である。
虚言は確かに彼女にとって救いである。
だが、相対的にまた彼女を苦しめる。
彼女は二十歳に成りそれをやっと理解した。
虚栄心を満たすための嘘は自分に刃を向け、痛くても一生外れることない足枷であることに。
人生は案外嘘や誤魔化しを抜き去れば楽な人生であったのかもしれない。
彼女にとってはそんな言葉は笑止もの。
最早意味の無い戯言であります。
虚言癖
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作者名:田中 利架 | 作成日時:2017年6月26日 10時