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彼女がメイクしている間、舘様と彼女についてひそひそと話していた。
「ふっかがチャイナドレス以外を着せる子が現れるとは。
どこに惚れたの？」
「まず味噌汁。」
「ははっ、胃袋掴まれたんだ。」
まあ、仮の関係であることは置いておいて、どれだけ好きかを話していたら「お腹いっぱい」って笑われた。
「そんなに好きなら、手を離さないようにね。」
彼女、いい子だからすぐ誰かに取られちゃうよって。俺も特にその真意を聞くことはしなかったけど、なんとなく舘様には仮の関係であることがバレているような気がして。
彼女のメイクも終わったし、お勘定…って思ったんだけど。
「…なに勝手に帰ろうとしてんだよ。」
「ん？でも終わったっしょ？」
「女にだけいいかっこさせてんじゃねえ。
お前もだ。」
さも当然、って感じに俺までメイクをすることに。
入れ替わりに立ち上がった彼女はずっと座ってたからか、体制を崩して。咄嗟に支えたら、目の前には真っ赤に染まった彼女の顔。
「……近いです。」
「このままチューしちゃう？」
「だから他所でやれ他所で。」
なべには怒られたけど、俺としては彼女のあんな顔が見られて大変よろしかった。そのにやけが出てたのか、ブラシで頭叩かれたけど。地味に痛いやつ。
舘様と彼女で俺がメイクしている間にお昼を作ってくれると奥に入っていった。メイク後に珍しく素直に言葉にしたなべ。
「…お前が本気になれる奴が見つかってよかった。」
「翔太もいい加減身を固めた方がいいんじゃない？
相変わらず女の子泣かせてるんでしょ？」
「人聞き悪いこと言うな。
向こうがどうしてもって言うから付き合ってるだけだし。」
翔太の女癖もどうやら抜けてないようで。
舘様もまだまだ幼馴染には苦労しそう…。
って女癖の悪かった俺が言うことじゃないんだけど。
…それに、彼女を連れてこの店に来ることはもうないわけだから。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2021年5月10日 21時
