70話 ページ22
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カラン、コロン、と綺麗な鈴の音を立てるドアを開けば今日もグラスを磨く一人の男性。
顔を上げると「また来たの。」と仏頂面で告げられた。
「やあ、お久しぶり。」
「そこまで久しぶりでも無いでしょ。
先週来てたくせに。」
「毎日来ないと気分が乗らないんだよ。」
「そんなの僕知らないし…で、いつものでいいの?」
「ああ、よろしく頼む。」
彼の名はバーのオーナー兼裏の世界では情報屋として名を馳せているトド松。
昔から何かとお世話になっている、いわゆるお得意さんという部類に入る人だろう。
いつもの、と一つ言葉を交わすとすぐに用意を始める。隣の席には珍しくグラスが置きっぱなしになっていた。
「このグラスどうしたんだ?」
「……あー、お客さんのなんだけど洗うの忘れちゃってただけ。ごめんね。」
「女性か?ウォッカを飲むなんて随分と豪酒だな?」
「…酒弱いくせに飲んだんだよ。タクシーに無理矢理突っ込んだ。」
「よっぽど辛いことでもあったんだろうな…。」
「そうだね…随分と泣きじゃくってた。で、今日の用事は何?ただ酒を飲みに来たわけじゃなさそうな顔してる。」
「ははっ、流石。長年の勘か?」
「アンタみたいなイタい野郎に長年付き合ってるからとは言いたくないけどまあそんなとこ。」
「実はな、彼女について調べてほしいことがあるんだ。」
胸ポケットから一枚の写真を取り出すと見えるように写真を滑らす。
手に取ったトド松はしばらく停止、ややあって口を開いた。
「Aちゃんじゃん。この子がどうしたの?」
「お、なんだ知り合いか。」
「知り合いも何もさっき来てた子がAちゃんだよ。もしかしてカラ松のところにゆずちゃんいるの?」
「ビンゴ、ご名答だ。そこまで分かってるなら話は早いな。この子の所属しているマフィアと次の作戦について調べてもらえないだろうか。」
「……うーん、幾ら出すかにもよるかな。一応彼女も常連さんで色々知っちゃってるから。」
「そうだなぁ…今回ばかりはトド松が望む金額を全額提供しよう。どうだ?」
「乗った。…はい、ブランデー。」
渡された飲み物を手に持つとしばし悩みながらも酒を煽る。
周りに人がいたからだろうか、俺の姿を見かねたトド松は小声で呟いた。
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新門アカツキ(プロフ) - かっこよ...っ!もうムリ...辛い...。あんなカッコイイオーナー書ける(描ける)様になりたいよー(泣) (2018年6月13日 20時) (レス) id: d9194b6661 (このIDを非表示/違反報告)
大天使 - んんんんんんめっちゃ続き期待…!!!こんな面白い展開初めて…毎日確認しにここに来ますね(笑)更新楽しみにしてます!頑張ってください…!!! (2018年4月7日 23時) (レス) id: 1297ac7e3b (このIDを非表示/違反報告)
あるてぃめっつ(プロフ) - いいとこでお話が……!夢主ちゃんは散るには勿体ないのでカラ松さん早く助けて…!!更新楽しみにしてます!評価……評価が足りない…… (2018年4月1日 10時) (レス) id: 3614360162 (このIDを非表示/違反報告)
ゐち(プロフ) - 来夢*゚さん» 元シバ、ゐちです!フレ、フレ、ラムちゃーん!頑張れ頑張れおーーっ! (2018年4月1日 2時) (レス) id: 1c78cabc1b (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - シバさん» シバさん毎度毎度コメントすっごく嬉しいですっ、ありがとうございますー!面白いだなんてそんなそんな…!笑 応援頂けたので全力で頑張りマッスル! (2018年3月31日 21時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来夢*゚ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/raimu2/
作成日時:2018年1月23日 17時