あでぃしょなるたいむ 2−5 ページ45
『わぁ…！』
泣いたせいで赤く腫れぼったかった目は、可愛らしいクマのお陰でキラキラと輝いている
さっきまでの態度とは一変、すっかり興味を持っていかれたがミヒャエルはそれで満足気だ
何を隠そうこの男、母から友達が欲しかっただけという話を聞いてからというもの
自分の為の練習ではなく、妹の為に
ストリートで見せ物をしたり、賭けサッカーをしたりして金を集め
今日やっとでこの大きなクマのぬいぐるみを買えるだけになったのだ
伊達に兄をやっていないので、妹はこの手の“カワイイ”に弱いことをミヒャエルは把握している
この数日間
ろくに妹と会話できず、必死で動いて疲労困憊なのだが…
それは決して口にしない
そんなクソダサい事俺がする訳ないだろ、見返りが欲しくて尽くしている訳じゃないんだから
「気に入ったか？」
『うん、ありがとうお兄ちゃん…！』
嗚呼、この笑顔の為に俺はこの数日耐え忍んだ…
…俺が守ってやらなきゃ
『お兄ちゃん、この子に名前ってあるの？』
「名前、考えてなかった…
良い機会だお前が考えてやれ、大事な友達になるんだからな」
『私が…名前つける…』
責任重大だぁ…
パァッと輝く笑顔は真剣な表情に様変わりしたが、それだけコイツを大事にしてやりたいと思っている証拠だ
そこらに居るジジイと違って、眉間に皺がよっていても俺の妹は可愛い
威圧感なんてものがちっとも感じられない
『うむむ……』
どこかで見た、この瞳の色…
赤だけどそれだけじゃなくて、透き通ってて…
『ぁ…！
お兄ちゃん！私決めた！』
「どんな名前にしたんだ？」
『ペトラ！
この子の名前“ペトラ”くんにする』
「……そうか…
ラフィが決めたんだから、お兄ちゃんは何も言わないよ
良い名前だ」
クリクリした目に白くてふわふわの布地、自分はメスのつもりで買ってきたんだが…
因みに
ペトラというのはギリシャ語で“岩”を意味しておりこのクマとは真逆だし、男性名ではない…が！
グッと言葉を飲み込んだ
妹の希望を汚さない為なら兄は幾らでも耐えられる生き物なのだ
でもなラフィ…
コイツのせいでお兄ちゃんと寝る2人の時間に邪魔が入るとは思ってなかったぞ
ペトラは物ではない妹の友人である、生物として扱え
そう根回しする様になる兄だった…
＿＿＿＿＿＿
『あ、お兄！
ペトラくん戻ってきたから3人で寝ようね！』
「クソが…」
einhundert acht und sechzig→←あでぃしょなるたいむ 2−4
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白昼夢(プロフ) - らむねさん» 以前もコメント送ってくれた方ですよね！そういったコメント貰えるだけで書く気力になっています！頑張ります！！ (2023年3月24日 12時) (
レス) id: 5ec7d98280 (このIDを非表示/違反報告)
らむね - 続編おめでとうございます！！この小説ほんっとうに良きですね・・！無理しない程度に頑張ってください！！ (2023年3月24日 8時) (レス) id: 41465224bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白昼夢 | 作成日時：2023年3月24日 1時
