イーガ団の幹部 (ページ28)

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イーガ団本部へとページ28

それから私は、イーガ団の本部へ足を進めていた。
戻るということは、即ち任務に失敗したというわけだ。
私には……あの人を殺す事なんて出来ない。
ゼルダ姫の悲しみに満ち溢れた瞳を思い出す。
そして、あの人を救えるのは……あのリンクしかいない。
もちろん、リンクにバレたことも話すつもりだ。私の所為でイーガ団の情報が少しでも流出してしまったのだ。私は直ぐにイーガ団に処刑されるだろう。

コーガ様の御守りを握り締め、ふと、私は最期に故郷のハテノ村へお墓参りをしてから、イーガ団本部へ向かおうと思った。
またハイラル平原の道を戻り、双子山に辿り着いた。

その時だった。

いつもの武器を持っていない私は、魔物に狙われたのだった。
その中には強靭なライネルとモリブリンも交えられていて、魔物は10体に至る程の数がいた。
｢……っな！｣
予想外の展開に焦り、逃れるために走り出した。あと少しで馬宿なのに……！
すると、肩に鋭い痛みが走った。
この感覚はよく知っている。矢が刺さったのだ。
しかも毒がぬられている矢なのだろう。痛みがどんどん加速していき、足がもつれてその場で転倒した。
直ぐに魔物達は私に追いつき、ボコブリンに足を掴まれた。
私は体を反転させて勢いをつけて、拳で足を掴むボコブリンの頭を強打した。
そのまま川に落ちたボコブリンを音で確認すると、目の前にはライネルがもう一体。しまった、囲まれた……！
気付いた時には、時既に遅く、
｢オマエ、イーガ団ダナ｣
モリブリンの1人が私に問掛ける。
｢ガノン様ノ望ヲ裏切ルトハ良イ度胸ダ｣
｢コンナ裏切リ者ハスグニ始末スルベキ｣
ライネルがそう言うと、魔物達は無防備な私にじりじりと詰め寄ってきた。
魔物達はあえて武器を投げ捨て、ストレス発散かのように私の事をニヤッと見据えた。
それからの私は、ガノンの裏切り者として殴られるやら、蹴られるやら、急所を避けて刺されるわで、もう体は十分に動かなくなっていた。しかも馬宿とはかけ離れた場所で拷問を受けたわけで、誰も私の存在には気付かない。
寒い。
真夏の猛暑日だと言うのに。
じりじりと照らしつけるはずの太陽に当たっていても、暑くないのだ。
私はこの人生、一体何をして来たんだろう。
あぁ、憎悪なんて感情は持つべきものでは無かったんだ……
涙が伝い、耳の中に入り気持ち悪い感覚がする。