- 瞳の奥の記憶/第二話 ページ34
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「ったく………はい、立てる？」
「お？うん！立てるぞ〜！ありがとな、セナっ！」
座り込むおれの手を取って立ち上がらせたセナは、良く聞け！、とでも言うように、真っ直ぐおれと視線を交わらせる。そんないつもと様子が少し違うセナが不思議でおかしくて、首を傾げながらも頷いた。
「王さまには、別にしてもらいたいことがあるだけ」
「…？してもらいたいこと？」
「あんたにしか頼めないから。あんまり騒がないで聞いてよねぇ」
大きく息を吸って、吐いて。そんなに緊張することなのか、と口を開こうとした時に聞こえたのは
「なずにゃん…王さまの言うナズが、Aに会いに行った」
自然な日常会話の途中で聞こえた、懐かしくて愛おしくて、大好きで大切な名前の音だった。
「………、…A？」
「そう、A。今から…3,40分前くらい。居なかったっていう連絡がきてないから、多分、会えた」
「…A」
久しぶりに聞いたその名前の響きに、思わず目を見開いて、驚いた。それでも、それと同時に、その名前を聞くことが出来て凄く凄く、嬉しくて。自然と頬が緩むのを感じながら、思い出す。
記憶鏡にうつるのは、大切で大好きな、楽しそうに笑う1人の女の子の姿。自由に羽を広げて、剣を持って、舞台で広々と舞い踊る彼女の姿は、渾名の通り天使で、騎士だった。
やっと、Aが救われるのだと感じた。また、あの子の憧れたアイドルを目指せると思った。ナズなら、救える。あいつと仲の良かったナズなら、きっと彼女も、救われる。おれが居なくてももう、大丈夫だろう。自由になれるだろう。
おれの居ない間に何があったのかは分からない。きっと、重くて苦しいものを抱えたのだろうということだけは、学院の彼女への対応から分かってしまった。1人でなんでも抱え込んでしまう彼女だけれど、きっとナズならその背中に背負う重すぎるものを背負ってくれる。Aを軽くして、また空を飛べるようにしてくれる。
良かった。これで、もう、Aが全部背負わずに済む。罪悪感に包まれて、暗いところで小さくならずに、笑顔で明るいところに居られる。Aがどんな選択をするのかは分からないけれど、自由になれるのなら、おれはそれでいい。
「…あんた今、なずにゃんなら大丈夫だと思ってる？」
たとえ、未来の彼女の傍に、おれが居なくても。
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ラビット_(プロフ) - オンナさん» 展開にわくわく…！凄く嬉しいです、ありがとうございます！続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 5時) (
レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
ラビット_(プロフ) - とわさん» そう言って頂けて嬉しいです😊🌟続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 1時) (レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
オンナ(プロフ) - とても面白くてこれからの展開にワクワクしています。続編楽しみです！ (7月17日 9時) (レス) @page49 id: dee2fbc24a (このIDを非表示/違反報告)
とわ(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！更新待ってます。 (7月10日 22時) (レス) @page47 id: ac6daa7edc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らびまる | 作成日時：2023年3月29日 8時
