- 自分のことすら分からない/第五話 ページ30
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「…おれは、Aが何に苦しんで、何のために戦ったか、全部知ってる」
『…だと思った。完全に、知ってるように言うんだもん』
色んな言葉の中で、なずな先輩はあの話、と口にした。そこから考えられることは、彼がわたしの隠し通したい話を知っているということ。それも、全部。放送委員会として情報収集に長けていて、あの抗争時代の中心の戦場に居たのだから、知っていてもおかしくない。
そうだと思ってた、と小さく笑みをこぼしながら告げると、彼は苦笑した。彼も自分が知っていることを知られていると薄々と会話をしていく中で分かっていたのだろう。
そんな彼は、先程までの表情とは打って変わって、真剣な表情で、真っ直ぐと言葉を紡いだ。
「Aは、あの事を知られたくないって思ってるだろうけど、おれは、レオちんたちに伝えるべきだと思う」
『…それは』
「特に、レオちんと泉ちんにはな。それが、Aがレオちんたちと本当に向き合えるってことだと思う」
嫌だ、と言おうとしたわたしに、彼は言葉を重ねていく。本当に、向き合えること。わたしが最後に、彼らと心の中身を全部さらけ出して会話をしたのはいつだろう。れおくんとは1年は会っていなくて、泉さんと2人きりで話したのはDDDが終わった頃。最後にちゃんと向き合えたのは、1年以上も前の、ママ先輩と海外へ行く前くらいだろうか。
彼はきっと、知っている。
わたしが何を伝えないといけないのか、どう向き合えばいいのか、まず何をすべきなのか。その答えを、きっとなずな先輩は持っている。わたしの知らないれおくんと泉さんのことを、『Knights』のことを知る彼は、わたしが彼らと向き合うことを願っている。勘違いかもしれないけれど、彼の言葉が、そんな風に感じた。
でも、向き合うって、どうすればいいの。伝えて、向き合うって、どうすればいいの。それが、わたしには分からない。人間関係のなんて分からなくて、誰かのことでこんなに悩んで、苦しんで、泣きたくなって、嬉しくて、楽しかったのは彼らが、彼が初めてだったのだ。
わたしは、護れなかったのに。護られるだけで、護られてることにすら気付かなくて。気付いた時にはもう手遅れで、ただ護られてることしか出来なかった。だからその後、わたしは護ろうとしたのに。1人でがむしゃらに振り回した剣は、呆気なく折れて。羽はもがれて、心は砕けた。
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ラビット_(プロフ) - オンナさん» 展開にわくわく…！凄く嬉しいです、ありがとうございます！続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 5時) (
レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
ラビット_(プロフ) - とわさん» そう言って頂けて嬉しいです😊🌟続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 1時) (レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
オンナ(プロフ) - とても面白くてこれからの展開にワクワクしています。続編楽しみです！ (7月17日 9時) (レス) @page49 id: dee2fbc24a (このIDを非表示/違反報告)
とわ(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！更新待ってます。 (7月10日 22時) (レス) @page47 id: ac6daa7edc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らびまる | 作成日時：2023年3月29日 8時
