- 自分のことすら分からない/第三話 ページ28
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「おれはもう『Valkyrie』じゃないけどさ、あの頃の自分も、今の自分も大好きだ。
お師さんの人形としてじゃなくて、『Ra*bits』の仁兎なずなとして、またおまえと同じステージに立ちたい」
だから、おれの手を取って欲しいって思ってる。おれは、おまえのことも、『Valkyrie』のこともずっと大好きだし、応援したいって思うから。
また、同じステージに。素直にその言葉が嬉しくて、泣きそうになる。暖かなその言葉に惹かれて、真っ赤な瞳を真っ直ぐに向けてくる彼の手を、取りたいと思った。恐る恐る、鎖を持っていた手を離して、右側に手を伸ばす。静かに待ってくれている彼の手に触れようとした。
……
「ねえ、Aちゃん」
「勝負の内容は、君が負けたら_________」
「『Knights』の月永レオくんって、」
「___________を______為に壊れたらしいよ」
……
どうして今になって、私はあの時のことを思い出すのだろうか。
『っ、』
彼から伸ばされたその手を、わたしは弾いた。
ごめん、なずな先輩。本当に、ごめんなさい。手を弾かれたことへの驚きで見開いた彼の真っ赤な瞳には、寂しそうな感情と、泣きそうになっているわたしの姿が写っている。彼はそっか、と言いながら、弾かれた手でまた鎖を掴んだ。
孤独に剣を奮った、あの時を思い出してしまった。冷ややかな視線を浴びて、頼れる仲間も、笑いかけてくれる友人も隣にいなくて。ただ隣にいたのは、スポットライトを浴びて私の護りたいものを奪った彼らだけ。
もう、誰かが自分に関係することで傷付くところを見たくない、という自分勝手な我儘。彼らの隣にいる権利なんてないから、というような悲劇のヒロインでは無い。わたしにとっての聞かれたくない過去を、思い出したくもない過去を、彼らが知らないままでいて欲しいだけ。
「…あの話は、まだ言わないんだな」
やっぱり、なずな先輩はあの話を知っている。彼の言葉に、小さく頷いた。去年の春の終わり頃、大好きな人達との最初で最後の大きな合同ライブ。あのライブの風景は、今でも直ぐに思い出せるほどに記憶に焼き付いている。『Valkyrie』も、『デッドマンズ』も、私たち『Knights』も心から笑って楽しんだあのライブの日。確かにあれは、幸せだった。大好きな人と音に囲まれて、過去で1番アイドルを楽しいと思えた日だったように感じる。
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ラビット_(プロフ) - オンナさん» 展開にわくわく…！凄く嬉しいです、ありがとうございます！続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 5時) (
レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
ラビット_(プロフ) - とわさん» そう言って頂けて嬉しいです😊🌟続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 1時) (レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
オンナ(プロフ) - とても面白くてこれからの展開にワクワクしています。続編楽しみです！ (7月17日 9時) (レス) @page49 id: dee2fbc24a (このIDを非表示/違反報告)
とわ(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！更新待ってます。 (7月10日 22時) (レス) @page47 id: ac6daa7edc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らびまる | 作成日時：2023年3月29日 8時
