- 自分のことすら分からない/第一話 ページ26
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「……ごめんな、突然来て」
おれ、おまえに会いたかったんだ。
混乱しながらも頷くと、あはは、と少し笑みをこぼした彼は曲げていた膝を伸ばして立ち上がる。隣の空いていたブランコに腰掛けて、ゆらゆらとゆっくり漕ぎ始めた。器用に片手でスマートフォンを弄りながら、小さくブランコを揺らす。スマートフォンを持つ腕にある、キラキラと光を反射するブレスレット。太陽の光を反射する金色の、細いブレスレット。どこかで見たようなそれが、全く思い出せなかった。
彼がブランコを漕ぐ音だけが響く静かな空間。およそ1年ぶりに2人きりになった彼との間が、なんとなく気まずくて、俯いて自分の影を見つめた。
会いたかったって、なんで。
そう口に出したかったけれど、自分の口からこぼれるのは空気だけ。答えを聞いてしまうのことなんとなく怖くて、聞くことが出来なかった。この状況にまだ自分も混乱していて、きっとなずな先輩もまだ混乱気味。ブランコを漕ぐ彼に横目で視線を送れば、漕ぐことで自分を落ち着かせようとしているように見える。それは、ただのわたしの気の所為だろうか。
「A」
『……なん、ですか』
「あんずが、また会おうね、って伝えておいてって言ってたぞ」
『あんずちゃんが……？』
「うん、あんずが」
何を言われるのかと思えば、告げられた言葉は自分を待ってくれているという学院唯一の女の子からの伝言。嬉しさと驚きで思わず顔を上げて彼女の名前を聞き返せば、ふわりと微笑まれる。
その笑みを見て、彼が変わったということを、酷く体感した。決して、嫌な訳ではない。これから先の彼の道を、応援していきたいと思った。けれど、それでもなんだか少し寂しく感じてしまって、俯いた。
れおくんのことを口にしないのは、なずな先輩の気遣いだろう。それとも、彼が戻ってきたことを知っているということを、薄々と分かっているから、言う必要がないと思っているのだろうか。去年と変わった彼の考えることは、今の彼をほとんど知らないわたしにはまだ、予想できなかった。
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ラビット_(プロフ) - オンナさん» 展開にわくわく…！凄く嬉しいです、ありがとうございます！続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 5時) (
レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
ラビット_(プロフ) - とわさん» そう言って頂けて嬉しいです😊🌟続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 1時) (レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
オンナ(プロフ) - とても面白くてこれからの展開にワクワクしています。続編楽しみです！ (7月17日 9時) (レス) @page49 id: dee2fbc24a (このIDを非表示/違反報告)
とわ(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！更新待ってます。 (7月10日 22時) (レス) @page47 id: ac6daa7edc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らびまる | 作成日時：2023年3月29日 8時
