- 遠くの光に手を伸ばして/第四話 ページ24
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じゃり、じゃり。
突然後ろから聞こえる、公園の砂の上を歩く音。ぴた、と身体が固まって、動かない。ブランコの鎖を思わず強く握る。後ろに誰が居るのかは分からない。もしかしたら、普通の通りかかった人かもしれないけれど。何故だか、嫌な予感がしたのだ。
「…A」
後ろから、自分の名前を呼ぶ声がして。なんで、この場所が他の人にバレてるんだ。ここに居るのは親ですら知らないはずなのに。
少しの足音の後、A、と再度呼ばれた名前。ぎこちなく首を動かして後ろを振り向けば、思ったよりもその人は近くにいたようで、座っているわたしからはその人の顔は見えなくて。
少し俯いていた顔を上にあげると、ぽん、と頭に乗せられる手。わたしと視線が交わった彼は、また私の名前を呼ぶ。
「A」
『…っ、うそ、…』
「いーや、嘘じゃないぞ」
『…なんで、ここに』
「んー…Aはなんでだと思う？」
そう言って、赤い瞳を細めて笑う。纏う雰囲気も、瞳も、前とは全然違うけれど、わたしはこの人を知っている。
彼が変わったということは聞いていたし、知っていた。会ってはいなくても、彼が新たな仲間と歩き出したことは耳にしていたし、学院内でも見かけていた。それに、あのステージも影でずっと見ていたから。ライブが終わってから涙をこぼす彼らを見ていたから。
ただ、細められたその赤い瞳が自分に向いたのは初めてだった。
真っ直ぐで、暖かい光の灯ったその瞳と視線が交わったのは初めてだったのだ。
柔らかな微笑みを浮かべた彼が、口を開く。ああ、こうしてちゃんと、彼と言葉を交わすことも初めてだ。男の子にしては高いその声は、人形だった昔は捨てられたもの。それでもわたしは、この声が好きだった。Aを呼んだ彼が、ブランコに座る私の前にしゃがみ込んだ。
『なずな、先輩…』
「A、おれと少し、話をしよう」
暖かい手が、私の両頬を包んだ。
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ラビット_(プロフ) - オンナさん» 展開にわくわく…！凄く嬉しいです、ありがとうございます！続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 5時) (
レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
ラビット_(プロフ) - とわさん» そう言って頂けて嬉しいです😊🌟続編でもよろしくお願い致します🙏 (7月18日 1時) (レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
オンナ(プロフ) - とても面白くてこれからの展開にワクワクしています。続編楽しみです！ (7月17日 9時) (レス) @page49 id: dee2fbc24a (このIDを非表示/違反報告)
とわ(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！更新待ってます。 (7月10日 22時) (レス) @page47 id: ac6daa7edc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らびまる | 作成日時：2023年3月29日 8時
