【d.!】Let it dry!【合作短編集】 (ページ7)

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注意されても尚、クッションにドスンと腰を下ろして立つ気のない私に何となく察したのか、「しゃあ無いな、それ食べとって」とパフェを渡してくれたマンちゃんは颯爽と廊下に駆けて行った。浮かべた苦笑が完全にお兄ちゃんのものだ。

それはそうと……と、マンちゃんが渡してくれた滑らかな面を描いて現在進行形で溶けているパフェに目を落とす。食べてて、いいんだもんね………えへへ、食べちゃお。

今更遠慮なんて一切無く、少しぬるくはなっているが相変わらずひんやりとしていて美味しいパフェに喉を鳴らす。何とも優しい感触がすっと喉を通る。

やっぱりお風呂上がりは冷たい物が一番だ。少々私には甘すぎるが、何だかそれも一興な気がしてきた。

「Aちゃん……はい、こっち向いて」
『ん〜？あ、マンちゃんの乾かし方綺麗だから嬉しい！』
「そんな可愛ええこと言うても飴ちゃんしか出ないめぅ」
『めぅ〜』

いつの間にか戻って来ていたのか、真後ろから息切れひとつ無いマンちゃんの爽やかな声が響いて咄嗟に後ろを向く。

見れば、仮にも女子である私なんかよりも余っ程綺麗な乾かし方をしてくれる事に私的定評があるマンちゃんの手に、我が家の小さめのドライヤーが収まっていた。

やっぱり持つべきは優しい幼馴染だ。お風呂上がりで少し呆けた状態の頭をそのままに、ニコニコと笑って喜んでいれば彼は私の頭に柔らかいタオルをあてがって、優しく髪の水気をとっていってくれる。

『あ、』
「どうしたん？」
『パフェ、本当に全部食べちゃった……ごめんねマンちゃん………』
「ええよ、Aちゃんが喜んで食べてくれたならパフェも本望やろ」
『えへへ、良かった』

…………何も良くないとは思うけど。思わず自分で自分の発言にツッコミを入れてしまう。