無意識 -os ページ6
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『マンちゃん、あ〜……』
「ん〜？ はい、食べ過ぎたらあかんよ」
『………あっまい』
「パフェやからな」
我が家自慢の人をダメにするクッションに深く腰掛けて、何やら硝子製の器を手にしていた幼馴染＿＿＿基、マンちゃんに後ろからこっそり飛びつく。
私と同じ鼻腔を擽る甘い花の匂いを纏わせたマンちゃんに擦り寄って、粗方食べられて丸く溶けているパフェを言外に強請れば、いつも通りの優しい笑顔で一口だけ掬って差し出してくれた。
お風呂上がりはいつも無性に喉が渇いて仕方ない、水分をとられているのだろう。普段はお風呂前に態々水を飲んでいくのに、今日は幼馴染が久し振りにお泊まりに来てくれて興奮していて飲み忘れた。
お泊まりは小学校以来だ、正直高校生になってまたマンちゃんと出来るとは思わなかった。まあ、両親が今日一日遠出しているのを心配してきてくれた訳なので、お泊まりとは少し違うのかもしれないけれど。
普段なら、人の食べかけの食べ物を強請るなんて事はしない。喉が渇きすぎて辛かった事情が重なった故の行動であっただけで………気心の知れたマンちゃん相手じゃなきゃ絶対にしない自信がある。久しぶりにこうして遊んでいる訳なのだから少し甘えたいのだ、仕方ない。
「ふふ、Aちゃん可愛いめぅ。髪食べてるで」
『ん？ あ、ありがとうマンちゃん』
「……まだ濡れてるやん、乾かさなあかんで？」
『………だって、面倒臭い』
「女の子なんやから、身体は大事にせな」
思ったよりも甘いパフェを意味も無く咀嚼する私に優しい微笑みを一つ溢して、撫でるようにして乱れていた横髪をそっと直してくれたマンちゃんにお礼を言う………が、髪の毛が生乾き状態なのに気付いたマンちゃんは、若干圧のある笑みをうっそりと浮かべて頬を軽く抓ってきた。
昔から、私が悪い事をすると頬を抓ったり頭をポンポンと叩いたりして優しく注意してくれるマンちゃん。
同い歳の幼馴染ではあるが、こういうところはお兄ちゃんみたいだ。お母さんからも「Aは子供すぎるのよ、オスマン君を見習いなさい」と散々言われてきて耳が痛かったものの、今改めて考えれば事実でしかなかったのだろう。
………まあ、直すつもりはないけれど。
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作者名：ラビット_ | 作成日時：2022年7月24日 23時
