【d.!】Let it dry!【合作短編集】 (ページ15)

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変わらない、あの言葉 -kn ページ15

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kn『Aの髪は綺麗やなぁ』

コネシマくんはある日突然、私の髪に触れるなりぼんやり見ながら言った。

『え、そうかな？』

kn『ほんまほんま！俺、Aより綺麗な髪してるやつ見たことない』

『本当に？最近、急に暑くなって来たからバッサリ切ってショートカットにしようかと思ってたんだけど』

学生時代、当時の私は腰まで伸びた髪を思い切ってバッサリ切ってショートカットにしようか悩んでいたところだった。

kn『えっ、A、髪切ってしまうん！？何で？勿体ないやん！』

『コネシマくんは髪長い方が好き？』

kn『うん、好き』

コネシマくんに髪は長い方が好きなんて即答されたら、髪をショートカットにするなんて出来ないじゃない。

『嬉しいなぁ、ありがとう。コネシマくん』

コネシマくんに学生時代髪を褒められた言葉が嬉しさのあまりに忘れられず、私は今でも髪を伸ばし続けている。

学生時代に付き合い始め現在同棲に至るまで長らく付き合っているせいもあってか、コネシマくんは愛の言葉を囁くどころか、服装や化粧・髪型・ネイルを新しく変えてみたりしても興味関心が無いのか基本的に反応は薄く褒め言葉すらほとんど無いに等しい。

そんなコネシマくんにとっては、私の髪を褒めてくれたのはありきたりな日常会話の一つ…もしくは単なるお世辞のうちの一つだったのかもしれない。

褒めてくれた張本人(コネシマくん)はもう全く覚えていないかもしれないけれど、私にとっては人生の分岐点の一つだったのだ。

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