YOUR IDOL. 【d.!】【合作短編集】【後編】 (ページ7)

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┌未来の光/sha ページ7

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いつも通りライブ終わりに私に宛てられたマネージャーからファンレターを受け取った。
その日異質な手紙が1つ。

前付けされた「初めて手紙を出します」という文字がにわかには信じ難いほど一通目とは思えないもので一瞬にして私の心は奪われた。

それは、容姿が好みだなんて在り来りな話からライブの話へと移り変わり、グループのオリジナル曲1曲1曲に対する私のダンス、立ち回り、表情管理…について事細かに褒めてくれるもので。
ああしろ、こうしろだとか一丁前にアドバイスをすることもなく私の長所だけを摘んでくれる言葉達に承認欲求が満たされていく。

口角が上がるのが不可抗力であるほど10枚近くびっしりと文字が敷き詰められたその手紙を読み終わった頃には、多幸感でふわふわと夢心地のような気分になっていた。

しかし1回にこんな膨大な内容を詰め込むくらいならもっと早く出してくれたら＿手紙には結成初期から足繁く現場に通ってくれたことも書いてあり＿前から認知できたのに…なんて。

一通り読んでこの熱心なファンに感謝した後、冷静に内容を考えてみると、尽く私のことしか書かない手紙だなとも思った。

こんなに私のことが好きなら自分についても知ってほしいと多少なりとも仕事や趣味の話を混ぜこみそうなものなのに。

ただただ私について書かれた真のファンレターといった手紙。

どうして応援してくれるようになったのか。そんな理由すら書かれないまま書き終えられている。

手書きで書かれた少し癖があるが綺麗な字

会話しているような気分になる明るい文

手紙から推測できたのは

" 熱心に応援してくれる優しい人 "

という漠然とした人物像。

『……しゃおくんかな、しゃおさんかな。』

手紙の最後に添えられた名前をそっと口にする。
まだまだ完璧じゃない私の姿を愚直に応援してくれる素性の知れない貴方に興味を持ったのは確かだった。