隠した想い【ヒロアカ】 (ページ24)

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21話：卵から殺人鬼へページ24

イナトが息絶えた後、家事を起こした火は瞬く間に広がって行く。

貴方(やべぇ、早く逃げないと私までローストビーフになってしまう！)

そう考えながらもAは被害者が拉致されている部屋に向かう。理由は一つ。助けるためだ。

貴方『しっかり！しっかりしてくれ！』

Aは男女の体を何度か揺するが、微動だにしない。まさかと思い、男女の心臓に手を当てるが手遅れだった。

貴方(くそ…！間に合わなかった…！もう少し早く来ていれば間に合ったかもしれないのに…！

…後悔は後だ…まずは脱出しねぇと…)

Aは拳を強く握りながら、裏口に向かって走り出した。次第に煙が視界を覆う程に火が酷くなった時。

Aは煙をなるべく吸い込まない様にし、裏口のドアノブに手を伸ばした。

そして無事開いて脱出が出来た。
その時暗い夜の街に丁度雨がポツポツと振り始め、次第に大雨へと変わって行った。

貴方(私は、本当に正しい事をしたのだろうか…)

Aは酒屋近くの路地に座り込み、考える。浴びた返り血は雨に流され見えなくなっていく。

貴方(…私は悪になり、悪を裁く事でこの先の何百人と言う犠牲を無くすつもりだった。

イナトに傷付けられていた人を救いたかった…。…だけど。誰一人として助けられなかった…。

あんな尋問なんかしないで、早くとどめを刺していれば…！)

Aはグッと拳を強く握りながら後悔の雨を心に刻む。だが、A自身も分かっていた。

あの時イナトに早くとどめを刺していても、結果は変わらなかったと。

あの時初めて見つけた時が既に末期状態だったからだ。…そう分かっていてもAはただただ悔やむしかなかった。

しばらくAは後悔を心に刻み、再び決めた。

“自分が悪になろうと悪を裁く。法による裁きを受けない奴を裁く"と。

そう決意を固め、Aはナイフを振り、血を払い自宅に歩を進めるのだった。