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4話 ページ5

フラン「っ・・・」

 その言葉を、人間の口から聞く日が来るとは思わなかった。私たち吸血鬼や、人食い妖怪なんかは人間に化け物呼ばわりされたとき、あなたたちと何が違うの、と返すことがある。

 だって、人間も生きるためと言って動物を殺すでしょう?それは生きるためだから仕方ない?だったら私たちも生きるために人間を殺すのは仕方ないことだ。・・・でも、そうだとしても私は・・・

フラン「それでも、生きる意味をなくした私なんかの餌になるのは、だめ・・・」

 生きるためなら仕方のないことならば、死にたがりである私にはその資格はないだろう。

土方「安心しろ、あくまで目的はお前(危険人物)の監視・・・お前はいつ人間を襲うかわからねえ、捕まえといた方が楽ってわけだ。・・・血の提供はついでだよ」

フラン「ずるいね、お兄さん・・・」

 お兄さんに利益があるとするのなら、私の断る理由がなくなってしまうのだ。私がずっとお兄さんに不利益になることばかりを並べてきたのが仇となり、それを見抜かれてしまったらしい。

土方「何のことだ?・・・俺は職務を全うしているだけだ」

 ニヤリと笑ってそういうお兄さんは、かなり優しく頭が良く、洞察力が優れているようだ。私のためにしてくれていることなのに自分にとってのメリットを並べ、あくまで自分のためだと言い張る。・・・そうすれば、私が断ることはないとわかっているから。

フラン「それじゃあお兄さんの血、もらっても良いかな?」

 お兄さんが頷いたのを確認するとすぐに私の身体は動いた。一瞬で首筋に噛みつき、溢れ出てくる血を啜る。

土方「・・・っ・・・」

 痛みに耐えるようなお兄さんの息遣いや肩をつかんでくる手に謝罪しつつも、私の吸血(食事)が止まることはなかった。もう何年も吸っていなかったからなのか、お兄さんの食生活の影響か、彼の血はやたら濃厚に感じた。

土方「っ、はぁ・・・」

 肩をつかんでいた手の力が弱まるのを感じ、急いで歯を抜くとゆっくりとお兄さんがもたれかかってきた。もしかしなくとも血を吸いすぎたらしい、顔色の悪いお兄さんをゆっくりと下ろし、木に寄りかからせた。

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フランドール(プロフ) - マヤさんさん» ありがとうございます!!受験で長らく執筆から離れていたため、まだリハビリ中ですが、楽しんでいただけるよう頑張ります!! (3月18日 6時) (レス) id: 93fb40e7a7 (このIDを非表示/違反報告)
マヤさん(プロフ) - すごく面白いです!無理せず、更新頑張ってください (3月18日 2時) (レス) @page22 id: 855f1dce83 (このIDを非表示/違反報告)
フランドール(プロフ) - カカオさん» ありがとうございます!楽しんでいただけたようですごく嬉しいです!物語もまだまだ序章なので、この先もっと楽しんでいただけるよう頑張ります (2022年3月31日 16時) (レス) id: 151f31884d (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - スランプとは思えないです (2022年3月31日 15時) (レス) id: abd5f3c4c0 (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すっごく面白いです。更新頑張って下さい (2022年3月31日 15時) (レス) @page11 id: abd5f3c4c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フランドール | 作成日時:2022年3月10日 17時

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