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You side









華菜 「A…?」







急に立ち上がった私を弱々しい声で呼ぶ華菜。








『ちょっと私外出てくる』



華菜 「外って…」



『飲み物買うだけやで』








私は華菜を置いて部屋を飛び出して、



先生の目を盗んでホテルの外に出た。









思ってた以上に吹雪はひどくなってるし、空気は凍るほど冷たい。









スキー場まで行くのにも一苦労で、



こんな中凛が1人取り残されてるって思っただけで苦しくなる。








『凛ー!!』







精一杯声を出しても、向かい風のせいか全く声が響かない。









それから私は最後に滑ったコースを走り回った。








『凛ーー!!』



『りーんー!』



『おらん…』



「バカ」



『っ……』








暴言吐いて、後ろから抱きしめてくる人なんて1人しかいない。









拓弥 「お前ほんとバカなの?」



拓弥 「体震えてんじゃん」



『こんなん凛に比べたら全然マシやし』








拓弥 「………もちろん芹沢のことだって心配だよ」



拓弥 「でも、海が芹沢のこと心配で仕方ないのと同じくらい」



拓弥 「俺もAが心配なんだよ」



『でも私のせいで…』



拓弥 「……もっと自分を大切にして」







拓弥 「ホテル戻ろ」









無理やり、本当に無理やり、


グイッと引っ張られて私はバランスを崩した。







たぶん足元が悪いせいもあるけど、体が冷えてたのもあると思う。








それに気付いたらしい拓弥はしゃがんで私に背中を向けた。








拓弥 「乗れって」



『え…いや、大丈夫やって』



拓弥 「いいから」






これまた無理やりおんぶされて、ホテルまでの道を歩く。









拓弥 「ちゃんと食ってる感あって安心」



『なにそれ、重いってこと?』



拓弥 「軽すぎるよりマシでしょ」



『それ女子にいう言葉じゃない!』



『嘘でも軽いって言うもんやろ』



拓弥 「はいはい」



『腹立つ…』






拓弥 「その怒ってるの、いつものお前らしくていいよ」








むかつくはずやのに、なぜか暖かくなる。



これが拓弥の凄いところ。







.

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作者名:たれめ | 作成日時:2021年7月8日 11時

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