褪せない今日より見えない明日で【高尾和成】2

Good Old Days 051 ページ17

　上手く真太郎の提案が飲み込めない私と和成に、監督がフォローを入れてくれた。


「つまり、緑間が言っているのは、高尾と日田がカレカノのふりをして、ストーカーを諦めさせるってことだね？」


　真太郎はコクリと頷いた。


　分かりやすく真太郎と話を噛み砕いてくれたのには、流石監督と尊敬すら覚えるが、でも、カレカノって何。


　娘さんの少女漫画をこっそり借りて読んだのだろうか。微笑ましいけど娘が思春期に入ったらキレられる。


　私は、まだ見ぬ明日の監督のメンタルと娘さんの心境をお察しして密かにお悔やみ申し上げた。


　私と和成は顔を見合わせる。ここで和成に「は？ Aのかれぴのふりとかがちだるいんですけど(笑)(笑)(笑)(笑)」とか言われたら私は立ち直れないかもしれない。


　というかカレカノのふりって何すればいいの？


　『彼ピッピとおそろっちのストラップ♡♡♡』とか、ブログに投稿すればいいのかな。えー私そういう女無理なんだけど。


　和成が無言でスッと視線を逸したので、私はそれを拒否の判断だと受け取る。


　多分そんなこと和成からは言い出しにくいだろうから、敢えて私からこの提案を流す方向に持っていく。


「緑間先生！！ そのせいでストーカーを煽ってしまったらどうするんですか！」


「気合だ」


「就任2秒にして教員免許剥奪してほしいって切実に願っちゃうよ、私」








　

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