Youth 010 ページ11
とある居酒屋の前に、立っている。
少し立ち止まって、何か迷ったような顔をした後、店の暖簾を押し上げて、中に入った。
「らっしゃぁせぇぇえ! ……あ、高尾君か」
いつ聞いてもすげー気合入った掛け声だな。少し笑ってしまう。実は若松と血縁関係にあるのでは、と勘繰っている。
いつもなら軽くツッコむところだが、今、おじさんにとてつもなく質問したいことがあるのだ。
「――ねえ、おじさん」
おじさんの目には、普段よりかしこまった感じが新鮮に映るらしく、それにつられて彼まで真面目な顔になった。
「ん?」
「――何で、貸し切りでパーティーしてたのにオレのこと呼んだの」
そう問うと、おじさんは白い歯を見せて笑った。
「何だ、そんなことか」
彼があたかも、己の質問をどうでもいいと言うふうに返したので、少しむぅっとした。
「……そんなことって何だよ。だって、オレ、すげー不思議でさー。夜も眠れなくって」
まあ真っ赤なウソなんですけどっ。爆睡したおかげで玉の肌守れてます。
だって、Aと知り合いってことは、おじさん知らなかったんじゃねえの? でも、知らないのにわざわざ貸し切りパーティーに呼んだのは何故?
「高尾君、覚えてないの?」
「や、何をっすか?」
「高尾君さ、酔った時にいつも『高校時代の仲間にあいたい』って言ってたよ。なんだっけ、シンチャン? と、Aって」
理解が出来ない。だって、Aって言っても、別人の可能性だって否定できないわけで。人違いだったらクソハズいじゃん。
「大丈夫、オレはね、Aちゃんを見た瞬間ピーンと来たんだよね。あぁ、この子が高尾君の言ってた『A』なんだなって。だから、間違ってるかもなんて思わなかった」
なんだそりゃ。全然、理由になっていない。おじさんらしさがにじみ出た説明に、思わず、苦笑いが出た。
「ふぅ〜ん。てかオレ、酔ったらそんなこと言ってんすか? やべーわ、マジ」
「ああ、高尾君酔うといつも――――――とばかり言ってるよ」
おじさんが語った真実に、オレは赤面することになる。
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ふなふね - 猫さん» コメント感謝です! 思い入れ結構あるので歓喜しております。 (2022年4月24日 17時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 私もっと高尾君が好きになりました。 私この作品大好きです!続きが楽しみです! (2022年4月17日 16時) (レス) @page47 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すみません!友達になろうのコメントいとこがわざと書いたんです!なのできにしないでください!・・・でもこれからもわたしのさくひんよんでくださるとこうえいです! (2022年4月17日 9時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね - 猫さん» ありがとうございます! とっっっっっっっても励みになります。ぜひコメントさせていただきますね。 (2022年4月16日 14時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - とても面白いです!・・・どうしたらここまで面白くなるの!?・・・・アドバイスがほしいのでできたらでいいのですが、私の作品「ダシャレが私たちの運命を」のコメントコーナで教えてください!(ちなみに多分、占いツクール 黒子のバスケででで来ると思います!) (2022年4月16日 13時) (レス) @page10 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふなふね | 作成日時:2021年9月29日 19時