検索窓
今日:9 hit、昨日:9 hit、合計:9,473 hit

Youth 010 ページ11



 とある居酒屋の前に、立っている。


 少し立ち止まって、何か迷ったような顔をした後、店の暖簾を押し上げて、中に入った。


「らっしゃぁせぇぇえ! ……あ、高尾君か」


 いつ聞いてもすげー気合入った掛け声だな。少し笑ってしまう。実は若松と血縁関係にあるのでは、と勘繰っている。


 いつもなら軽くツッコむところだが、今、おじさんにとてつもなく質問したいことがあるのだ。


「――ねえ、おじさん」


 おじさんの目には、普段よりかしこまった感じが新鮮に映るらしく、それにつられて彼まで真面目な顔になった。

「ん?」


「――何で、貸し切りでパーティーしてたのにオレのこと呼んだの」


 そう問うと、おじさんは白い歯を見せて笑った。


「何だ、そんなことか」

 彼があたかも、己の質問をどうでもいいと言うふうに返したので、少しむぅっとした。


「……そんなことって何だよ。だって、オレ、すげー不思議でさー。夜も眠れなくって」


 まあ真っ赤なウソなんですけどっ。爆睡したおかげで玉の肌守れてます。


 だって、Aと知り合いってことは、おじさん知らなかったんじゃねえの? でも、知らないのにわざわざ貸し切りパーティーに呼んだのは何故?


「高尾君、覚えてないの?」


「や、何をっすか?」


「高尾君さ、酔った時にいつも『高校時代の仲間にあいたい』って言ってたよ。なんだっけ、シンチャン? と、Aって」


 理解が出来ない。だって、Aって言っても、別人の可能性だって否定できないわけで。人違いだったらクソハズいじゃん。


「大丈夫、オレはね、Aちゃんを見た瞬間ピーンと来たんだよね。あぁ、この子が高尾君の言ってた『A』なんだなって。だから、間違ってるかもなんて思わなかった」


 なんだそりゃ。全然、理由になっていない。おじさんらしさがにじみ出た説明に、思わず、苦笑いが出た。


「ふぅ〜ん。てかオレ、酔ったらそんなこと言ってんすか? やべーわ、マジ」


「ああ、高尾君酔うといつも――――――とばかり言ってるよ」


 おじさんが語った真実に、オレは赤面することになる。


 

Youth 011→←Youth 009



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
設定タグ:黒子のバスケ , 高尾和成   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ふなふね - 猫さん» コメント感謝です! 思い入れ結構あるので歓喜しております。 (2022年4月24日 17時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
- 私もっと高尾君が好きになりました。 私この作品大好きです!続きが楽しみです! (2022年4月17日 16時) (レス) @page47 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
- すみません!友達になろうのコメントいとこがわざと書いたんです!なのできにしないでください!・・・でもこれからもわたしのさくひんよんでくださるとこうえいです! (2022年4月17日 9時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね - 猫さん» ありがとうございます! とっっっっっっっても励みになります。ぜひコメントさせていただきますね。 (2022年4月16日 14時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです!・・・どうしたらここまで面白くなるの!?・・・・アドバイスがほしいのでできたらでいいのですが、私の作品「ダシャレが私たちの運命を」のコメントコーナで教えてください!(ちなみに多分、占いツクール 黒子のバスケででで来ると思います!) (2022年4月16日 13時) (レス) @page10 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ふなふね | 作成日時:2021年9月29日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。