閉鎖的な世界から愛を叫ぶ

Ki side ページ8

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「バカ………心配させんなよ…っ」






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太輔はただ眠っているだけだった。


暫くの間充分に睡眠が取れていなかったため、体が強制的に眠りの状態に入ってしまったのではないか、と医者は言っていた。




命に別状はなく、暫く寝かせておけば自然に目が覚めるらしい。

だが太輔の細い腕には、足りてない栄養を補うための点滴の針が刺された。







「っ、………ごめんな…っ」




悔やんでも悔やみきれない、とはこのことだと思う。





死ぬことはないにしても、太輔をここまで追い詰めてしまった。


俺が間違った選択をしたばかりに、こんな…








どれほど泣いたんだろう。



どれほど苦しんだんだろう。






一人で泣いている太輔なんて容易に想像できて、その原因は紛れもなく俺で。


太輔のことを考えれば考えるほど、胸が痛くて苦しくて張り裂けてしまいそうだった。









担架の上で横たわっている太輔の頬には、まだ乾ききっていない涙の跡がいくつもあった。



きっと、楽屋を飛び出していった後、トイレの中で一人で泣いてそのまま眠ってしまったんだろう。






全てを、忘れたかったのかな…



なかったことに、したかった…？








離れようなんて言わなきゃよかった。少し考えれば太輔が深刻に考えるって分かったはずなのに…


バカは俺の方だよなほんと









「たいすけ…」





なぁ、




北山、なんてそんな他人行儀な呼び方じゃなくて、前みたいにひろ、って呼んでよ。



何にでもすぐ嫉妬して、すぐ拗ねて、ぷくぷくしたほっぺたを膨らませて、俺をもっと困らせてよ。


お前が一人で抱え込んでるもの全部、俺にも背負わせてよ。







頼むから、






「たいすけ…っ」







返事してくれよ…っ

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