閉鎖的な世界から愛を叫ぶ

F side ページ15

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「太輔、ちょっとドライブして帰ろ」



「え、ひろ…？」



「俺が運転するよ。お前は助手席に乗って」



「…うん、わかった」







ひろの突然の提案でドライブして帰ることになった。



俺の気持ちに、気付いてるのかな。









…まぁ、気づかないわけないか。



嘘をつくのは昔から下手で、顔に出るってよく言われるしね。







…ほんとは、やりたくないに決まってる。



こんなときに「同性愛」がテーマの曲なんて



神様が意地悪をしているとしか思えない。









…でも、やらない選択肢なんて存在しないから。




やるしかないんだよ。









「曲かけてもいい？」


「うん。」





珍しくひろがそんなことを聞いてきて、ダメな理由なんてないから頷いた。









…どんな偽った顔して笑いかけてきても




違うことを思ってるのは僕には分かってる









「…っ、」





不意に流れ始めたその曲に、



視界が薄い水の膜に覆われて、世界が滲み始めた。




少しでも油断したら洪水を起こしてしまいそうで、



瞬きを止めて上を向き、必死で抵抗する。









君が僕に強がるなら 甘えてもいいんだよ？








「我慢すんなって」


「、………っ」








だけど



いつもより少し強い口調のひろに


体がビクッと反応して、





我慢してた涙がひとつ、ポロっと零れ落ちた。









形に出来ないからって 毎日に不安で泣いたって






君から溢れる全ての感情抱きしめるよ









「っ、…うぅ………うー…っ」


「ん、よくできました」







歯止めを失った俺の涙腺が涙を溢す度に



ひろの顔がどんどん優しくなって、






もう、溢れる涙を止めることは出来なかった。









僕が横に居れるのなら 世界を敵に回せるから




君から溢れる全ての感情抱きしめるよ




言葉はちっぽけだから




塞いで何も言わなくていい




この鼓動が全てだから今すぐに







愛を……

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