閉鎖的な世界から愛を叫ぶ

F side ページ11

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少しだけふたりの空間を味わった後、ひろがナースコールを押してくれて、看護師、医者、そしてメンバーが病室を訪れた。






「ガヤさぁぁぁぁん」


「うわ…！」


「ちょ、千賀！ガヤ病み上がりだから！」


「あ、ごめんっ」


「ふふ、大丈夫だよ。心配かけてごめんね？」


「う、うぅ…ガヤさんっ…よかったぁ…」


「てか俺、二階堂が病み上がりっていう言葉知ってたことに驚きを隠せないんだけど」


「はぁー？それくらい知ってるわ！」



「「「「「「アハハハハ」」」」」」






皆がいつも通りの皆で、何だかすごく安心した。





こんな風に自然に笑えたの、いつぶりだろ。




俺の胸は一瞬にして正の感情で埋め尽くされて


それが堪らなく嬉しかった。









お医者さんは俺の身体を入念に診察した後、特に異常は見られませんが、念のためあと一週間ほど入院してもらいます、と言って看護師とともに病室を出ていった。




皆、お医者さんの言葉を聞いて安心したようで、渉に至っては涙を流しながら勢いよく俺に抱き付いてきた。


だから俺も、苦しいくらい抱き締め返した。


そしたら他のメンバーも次々と抱き付いてきて、皆で団子状になりながら泣いた。









「てかさぁ、ふたりともほんと水臭いよねー俺たちメンバーなんだよ？仲間なんだよ？」


「もっと俺たちにも相談してよ！」


「そうだよ！寂しいじゃん！」


「恋愛相談ならこの宮田におまかせ…」


「「「できない」」」


「…ショボーン」



「まぁ、宮っちは置いといて、裕太たちの言う通り、これからはこんなことになる前にちゃんと相談すること。わかった？」


「「はーい」」


「横尾さんまで…！ひどい…！」


「どんまい宮田」







…何か、ほんといいメンバーを持ったよね。


普通だったらこんな関係絶対認めてもらえないし、こんな風に相談して！なんて言ってもらえないと思う。




俺の横に腰掛けていたひろも同じことを思ったようで、目が合うと優しく微笑みながら「いいメンバーだな」と口パクで伝えてきた。


だから俺も、「そうだね」という意味を込めてひろの手をギュっと握った。


そしたらひろも、同じくらいの強さで握り返してきた。



久しぶりの温もりに思わず涙が出そうになった。









やっぱり、離れるなんて出来ないね。




体が、心が、俺の全てが、ひろを欲してる。

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