9話 地下牢にて ページ10
チャリ...
白骨化した人の手首に繋がれた手錠が揺れた。
足元のすぐ近くをネズミが走っていく。
光が居らず、空気も濁っているここは本丸の地下牢であった。
「いやぁぁぁあ!ね、ネズミ!!」
「主!?大丈夫であるか!!」
「主さん落ち着いて!」
白い羽織を羽織っている金髪の青年が、甲高い奇声を上げた。
その両隣にいる翡翠色の髪をした大柄の男と黒髪の少年が慌てて駆け寄り、心配そうに声を掛ける。
しかし、この男は叫ぶのを止めない。
「ネズミよ!?骸骨よ!?乙女をこんなところに閉じ込めるなんて、マジ信じらんない!!
あ"あ"あ"!!もうサイアク!!」
「主さん...」
わなわなと震える青年。
お察しの通りオカマである。
自身の主の混乱具合に、黒髪の少年...堀川国広がガクリと項垂れた。
「カカカ!これも修行であるぞ!!」
「こんなの修行とは言わないわよ!...って、あ"あ"あ"!?ゴキ○リィィィ!!」
大柄な男...山伏国広の言葉にすぐさま反応した青年。
が、またすぐに部屋の隅に現れたモンスターに絶叫する。
「ほ、堀川ちゃん!アイツ殺っちゃって!!」
「え〜、僕〜?」
「拙僧に任せあれい!」
渋る堀川に、山伏がモンスター討伐を名乗り出た。
元気よく出陣して行き、モンスターをガシッと掴んで出入口の隙間から外に逃がす。
「山伏ちゃん何やってんの!?
なんで鷲塚んだの!?
なんで仕留めなかったの!!?」
「生き物にも命はあるのだ...拙僧には殺せぬ」
「さっすが山伏さん!男前!」
ムンクのように両手で頬を挟んで絶叫する青年に、山伏が首を横に振った。
堀川が空かさず合いの手を入れる。青年は白目を剥いていた。
「まんばちゃん!まんばちゃん助けて!
うちの子達があり得なさ過ぎる!!」
今この場に居ない山姥切の名を呼び、SOSを発信するその青年。
しかし忘れてはいけない。
彼もまた、この脳筋兄弟の一人であることを...
「...兄弟は、無事でしょうか」
ぽつり、と堀川が口を開いた。
俯いた彼の頭を、山伏が黙って撫でる。
「大丈夫よ、私の部下だもの。
きっと皆を連れてきてくれるわ...私は信じてる」
数刻前...敵である刀剣たちの目を掻い潜り、機動がこの中で一番高い山姥切を地下牢の外に脱出させたのだ。
増援部隊を案内しろとの、命を授けて。
「待ってるわよ、まんばちゃん」
この後、再びモンスターが襲来することを彼は知らない。
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ハルヒ(プロフ) - 臨兵闘者皆陣烈在前…アカン妖界ナビ・ルナしか浮かばんかった…そしてこの小説がとても好きです…ゆっくりでいいので更新待ってます…杏仁豆腐さん大好きです…(* ̄ii ̄)ハナジブォォォ← (2017年11月28日 14時) (レス) id: 852ed5590a (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐(携帯)(プロフ) - アッシュさん» その点に関しては申し訳ありませんでした。只今設定の方を載せましたので、何か不便な点がございましたら言ってください。 (2017年11月6日 22時) (レス) id: c00500378b (このIDを非表示/違反報告)
アッシュ(プロフ) - 設定無いのですか?初っ端から話が始まって何が何だか分からないです… (2017年11月6日 21時) (レス) id: 780afa92f9 (このIDを非表示/違反報告)
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