4話 怨みの矛先 ページ6
磨きあげられた廊下に、ポタポタと数的の赤が滴り落ちる。
山姥切国広と交わっている敵刃を鷲掴んだAは、手のひらを襲う痛みに顔を歪めることなく、真っ直ぐに刀剣の瞳を見詰めていた。
制止の声を掛けた山姥切は、苦虫を潰したような表情で自身の主のことを見ている。
あんたは馬鹿か...と。
「入って居ない...だと？」
『そうッス...確かに、人間という生き物は自分勝手だ。
すぐ、物の優劣を付けたがる...本当にはた迷惑な話ッスね』
そう言って自虐的に笑うAは、何処か儚げであった。
しかし、そんな様子もつかの間で、伏せていた顔を上げて更に口を開く。
『でも、そんな人間でも悪い奴らばかりではないんスよ？
実際、知り合いの本丸が和気藹々としてるッスもん』
「いや、彼処はホワホワしているだけだろ...」
『和気藹々と！してるッスもん！！』
知り合いの本丸を思い浮かべ、肩を竦める山姥切にAは大事な部分を言い直した。
そんな茶番劇のような彼らのやり取りに、刀剣はただただ呆然としている。
『とにかく！俺は君の居た本丸の審神者じゃないし、君に暴力も奮わない。
何かあれば、斬ってもらっても構わないッスから！！』
「...っ！？」
Aによる堂々とした殺してくれ発言に、さすがの刀剣も驚いて目を見開いていた。
山姥切はガックリと肩を落とし、頭を抱えている。
「何故、そこまで命を賭けられる...刺せば死ぬ、脆弱な人間が...？」
『そんなの、決まってんじゃないッスか。
まんばたん達のことを、信じてるからッス』
震える声での問い掛けに、Aは然も当然のように答えた。
何の躊躇もなく、あっさりと＿＿＿
「...それ、俺たちに一方的な苦労が掛かるだけだよな？」
『あ、よく分かったッスね』
呆れたように腰に手を宛がう一振りと、ケタケタと笑いながら返す一人。
交わっていた刃は、既に地を向いていた。
「...本当に、斬り掛かっても良いんだな？」
『良いッスよ！どんどん来るッス！！
君の人間に対する怨みは、全部この俺が一身に受け止めるッスから！！』
「正確には、“あんたの刀剣である俺たちが”だけどな」
『まぁ、そうとも言うッスね』
「...クスッ」
Aと山姥切の漫才のようなやり取りに、小さな笑い声が加入した。
『今日から宜しく頼むッスよ！
鶴丸国永...いや、つるたん！！』
「つるたんは止めろ」
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あ - 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (
レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです！続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でｯ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします！続き楽しみにしてます！ (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)
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