16話 騒がしい客間 ページ18
「...すみませんでした」
目を赤く腫らして正座をする少年に、Aはケタケタと笑いながら大丈夫だと告げる。
つい先ほど、漸く泣き止んだ秋田はすぐさま自身を抱き留めていたAの腕から抜け出した。
腕の中から消えた温もりに、少しだけしょんぼりと肩を竦めるAの前に正座し、瞬時に頭を下げて土下座の形を取る。
再び上げられた彼の頬は、これでもかというぐらいに赤く染まっていた。
『いやいや、あれくらい大丈夫ッスよ。
出会い頭に、いきなり斬り掛かってきた誰かさんとは大違いッス！』
「...いや、それは君のことだろう！？」
『まぁまぁ、全部まんばたんってことで...あ、もうこんな時間ッスか！』
ケラケラと肩を揺らして笑うAは、“誰かさん”の部分を自棄に強調して、尚且つ鶴丸の方を見やりながら述べた。
そんな彼に、一拍置いて掴み掛かるのは視線を向けられた鶴丸である。
Aは素早い動作で、鶴丸とちゃぶ台を挟んだ対角線状に逃げ込んだ。
...が、部屋の壁に設置された振り子時計を視界に入れ、ハッとしたように動きを止めた。
そんな絶好の機会を、鶴丸が逃す筈もなく。
「話を誤魔化してんじゃねぇ！！」
『いだだだだだだ！！？
ちょ、入ってる！入ってるから！！』
「おお、見事に決まってるな...」
「ワン、ツー、スリー...」
動かないAに対してコブラ・ツイストを決める鶴丸に、茶を啜りながら歓声を上げる鶯丸。
薬研は畳を叩きながらカウントを取っていた。
この場に、Aの味方など始めから存在してなかったのであった。
「...エイト、ナイン、テン！
勝者、鶴丸の旦那！！」
「よっしゃ！！」
『...いや、よっしゃ！じゃねぇ！！』
カウントを終えた薬研は、技を解いた鶴丸の腕を掴んで高らかに突き上げる。
鶴丸も、嬉しそうにガッツポーズを取っていた。
楽しそうな彼らに、先ほど畳に沈んでいったAがガバッと身体を起こして盛大なツッコミを入れる。
『何でプロレス！？何でコブラ！？
つるたん何処で覚えたの！！？』
「前の本丸で、ちょっとな...」
『いや、今さら儚いオーラ出しても、もう遅いッスからね！？
てか何！？ブラック本丸で何があったの！？』
分けわかんねぇと頭を抱えるAに、フッと儚げなオーラを醸し出し始める鶴丸。
そんな彼らの騒がしい様子に、ずっと傍観を決め込んでいた鶯丸は必死に笑いを堪えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 334人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ - 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (
レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです！続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でｯ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします！続き楽しみにしてます！ (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
