2話 交わる刃 ページ4
広間からだいぶ離れた薄暗い小部屋...客間の前に、Aと山姥切は立っていた。
双方共に固唾を飲み、真剣な眼差しで客間の内装を遮っている障子を見詰めている。
中から発せられているのは殺気...酷くおぞましい、刀剣男士たちの成れの果てであった。
その気配は案に言っているのだ...入れば斬る、と。
『うん、完璧にブラック産ッスね。
もうお手上げッス、うぐたんヘルプ』
「白旗上げるの早すぎるだろう」
素肌に突き刺さる純情ならざる気配に、Aは自身の腕を擦りながら弱音を吐いた。
元来た道を帰ろうとする彼の襟首を、山姥切が鷲掴んで引き留める。
ぐぇと情けない悲鳴を上げる自身の主に、金髪の彼はやれやれとため息を吐いた。
『だって、入っていきなりお覚悟されるのは怖いッスもん...』
「安心しろ。
俺がいる限り、あんたが斬られることはない...たぶん」
『確実じゃあ無いんスね』
明日の方向を向いている山姥切に、Aは更に駄々を捏ね始める。
地団太を踏む彼の様子は、宛ら我が儘を言う幼子のようであった...と、当事者は後に語った。
「...ったく、絶対守ってやるからさっさと連れ出すぞ」
『あ！今、面倒くさいって思ったッスね！？』
「さぁな」
このままでは埒が明かないと考えた山姥切は、半ば無理矢理にAを引っ張って障子の戸に手を掛けた。
今尚吠えるAを完全無視し、戸をスライドさせる手に力を込める...
...と、ほぼ同時に帯刀していた獲物を引き抜き、Aに迫る刃を受け止めた。
奇襲を仕掛けた刀剣は、妨げられた刃を見て忌々し気に舌打ちを打つ。
「...こりゃあ驚いた、よく受け止められたな」
「来る、と分かっていた...後はタイミングを合わせればいいだけのこと、だ！」
「...っ、」
隙を見た山姥切が、ガラ空きになっている相手の腹部を思いっきり蹴飛ばした。
再び部屋の中へと入る形になった刀剣は、襖に背中を叩きつける前に足で勢いを殺す。
夕陽に照らされた白い戦闘装束は所々血に塗れ、痛々しいことこの上なかった。
『まんばたぁぁぁぁぁぁぁん！！！』
「わ、ちょ...抱きつくな！鬱陶しい！！」
警戒を怠らない山姥切に、咄嗟のことで動けなかったAが飛びついた。
Aとしては助けてくれたお礼のつもりなのであろうが、山姥切からしては邪魔なだけであったようで。
すぐに振り落とされていた。
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あ - 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (
レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです！続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でｯ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします！続き楽しみにしてます！ (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)
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