彼女は… ページ31
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上を見た
夜を突き刺すかのように、展望台がそびえている
一歩一歩
上るたびに足が重くなっていくようだ
ようやくたどり着いた先は
悲しいほど星が綺麗に広がっていて
目まいがするほど高い
「はぁ…」
何の意味もなく息をする
むしろ無駄なことだと思う
無駄に酸素を消費して無駄な二酸化炭素を増やしてる
静かな空間に手すりのギシギシという金属音だけが響く
一線を越えると途端に見える世界が変わってくる
ここで静かに
ひとりで……
『やぁ、君も星を見に来たの？』
「ッ？！」
静かな空間に、決して大きくないけど
よく聞こえた綺麗な女性の声
手すりに寄りかかってこちらを見つめて…いや、眺めている
ただの観光客みたいに、それはそれは"普通"に話しかけてきた
「…貴女はどうしてこんな所にいるんですか」
『飛び降り？』
「ッ……」
づかづかと踏み入ってきて不愉快な人だ
何も関係ない僕に話しかけて、偽善者のつもりか？
『早く飛ばないの？』
「……は？」
『心配しなくてもいいよ、君が飛び降りた後は警察に連絡してちゃんと親御さんの元へ届けてあげるから』
「…胸くそが悪いとか、思わないわけ？」
『これから死のうとしてる人が何を考えてるの？』
「え……」
笑ってる
見惚れるくらい、綺麗に
こんな状況じゃなきゃ
好きになってしまいそうな笑顔
『死んじゃうんだから、そんなの関係ないよね？それとも未練がある？』
「……別に」
『じゃあ手を離しなよ』
「あ、ちょッ！」
ガッと手を掴まれて手すりから離される
やっと離れた手は
次に彼女を掴んでた
『どうしたの？何か困ったことでもあった？』
「ぁ……あ…」
高い
すごく高い
ここから落ちたら、きっと…
そこまで考えたら
今度は思いっきり引っ張られて床に腰を打った
「いったッ…」
『あー、もうこんな時間か…兄さんたちが心配するから帰るね？』
「はぁ？！お前ッ！！」
『文句は次に会った時にしてよ、またね』
僕の頭を撫でてさっさと帰ってしまう
追いかけて捕まえて喚き散らしてやりたいけど
腰が抜けて立てない
彼女は…
彼女は、天使の皮を被った悪魔だ
意味が分からない
理解ができない
けど
次会った時は文句を言わないと
だから
それまで…
.
.
生きる
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まるごと林檎。 - 小心者さん» 返信遅れてすいません！だいじょぶでしっ！ (2018年8月28日 5時) (
レス) id: a0a0b9abba (このIDを非表示/違反報告)
小心者(プロフ) - みぃさん» 嬉しい！ありがとう！ (2018年8月27日 22時) (レス) id: 2427521ea6 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 小心者さん» 初めまして！！この作品とても面白くて第1弾から見ました！猫の恩返しパロの弟者さんかっこよすぎて惚れましたありがとうございます！これからも更新頑張ってください応援してます！ (2018年8月27日 21時) (レス) id: f861e836fe (このIDを非表示/違反報告)
小心者(プロフ) - まるごと林檎。さん» リクエスト了解したぜ！見たいシーンとかあったり？ (2018年8月26日 15時) (レス) id: 2427521ea6 (このIDを非表示/違反報告)
まるごと林檎。 - リトル末者〜…おねがいだからわがはいのところにおいでー…はｯ、リクエストですっ！猫の恩返しパロを書いてほしいのですっ！ (2018年8月26日 11時) (レス) id: a0a0b9abba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小心者 | 作成日時：2018年7月13日 21時
