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隼side
玲「……なんか冷てぇな、」
扉が閉まりきる前にいう玲於
亜「おい!聞こえるだろ!」
玲「まぁいいじゃん、事実だし」
まぁ確かにそうかも
高い位置でひとつに括られた栗色の綺麗な髪
身長はそこまで高くなく、細身の身体
綺麗なんだけど、どこか幼く、可愛らしい顔なのに
一切笑わないAさん
さっき"ちゃん"付けしちゃったけど
会話してみたら"さん"って感じ
佐「確かに、業務教えてても、一切笑わなかったなぁ」
亜「えぇ?あのカズさんでも笑わせられないんすか?!」
ちょいちょい小ボケかましてくるカズさんでも
笑わないなんて……強者だ…!
隼「……うまくやってける自信がない」
玲「ドンマイ、隼」
肩を軽くぽんぽん叩きながら笑う玲於を睨む
涼「隼、行かなくていいの?」
隼「はっ!そうだった!やばい!!」
慌てて荷物を鞄に突っ込んで肩にかける
隼「いってきまーす!」
玲「頑張れよー」
ニヤニヤしてる玲於……
くそ、明日覚えとけよ…っ!
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俺の姿が見えると後部座席のスライドドアが開く
隼「すみません!お待たせしましたぁ!」
『いえ、大丈夫です』
急いで後部座席に乗ると、
相変わらず微笑みもしないAさん
車内にふわりと香る彼女の香りは
優しい、いい香り
隼「…香水、何使ってるんですか?」
運転中なのに、つい質問すると片手で鞄を漁る
『これです』
振り向きもせず、片手で香水を見やすい位置に上げる
そっと受け取って蓋を開けて匂いを嗅ぐ
隼「……いい匂い、」
『どうも』
ぼそっと呟くと返ってくる返事はやっぱり冷たい
そこからは一切会話がなく、無意識にため息が漏れる
シュッと香水を一吹きすると
強まる優しい香り
隼「これ、好きだなぁ…」
その言葉はAさんに聞こえているのかいないのか、
返事が返ってくることはなかった
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作者名:リナリア | 作成日時:2020年10月10日 10時