episode-15 ページ17
「まあ確かに綺麗だけど……なんかあの人シェーンハイト先輩に似てないか？さっきも先輩の顔がチラついてしまって、どうしても異性として見る暇がなかったんだ」
「は〜？デュースお前、損だぞその考え方！あんなに美人な女の子、なかなか会えないぞ！」
「そうかもしれないけれど……」
と、デュースが言いかけた時だった。オレ達も予想だにしないような人物が、背後から気配を顕にした。
「ムシューたち、その話、詳しく聞かせてくれるかな？」
「「うわあっ！」」
薄暗いメインストリートで、二人揃って素っ頓狂な声を上げてしまった。なんだか最近こんな場面が多い気がする……。
「は、ハント先輩？！」
すかさず振り向いたオレ達の背後には、いつものような屈託のない笑みを浮かべたルーク先輩がいた。不味い、リヒルデさんのことを聞かれていたんだ。
「最近妙な噂が広まっているのは知っていたのだけれどね。どうやらキミ達はその真相に近いと見た。詳しく聞かせてくれるかい？」
「あ……あれ？知らなかったんスか？あれは、ユウの奴が窓開けっ放しでゲームしてて、その音が外に漏れちゃって……」
「それは嘘だろう？キミが知り得た限りの全てを教えて欲しいんだ、どうかな？ムシュー・ハート、ムシュー・スペード」
「う、嘘……？何言ってんスか。こんなとこで先輩に嘘ついてなんになるんスか？」
もうあんな事にはなって欲しくない。オレ達はユウとも、リヒルデさんとも約束したんだ。けれど、ルーク先輩は怖かった。
「口止めされているのかい？それなら心配は要らないよ。私は口の堅い男だ」
「は、はぁ……」
そもそも、ルーク先輩がリヒルデさんに興味を寄せているということが少し以外だった。まあ、すごく美人なんだけど。オレらやユウ達以外なら見た目なんて知る由もないだろうし。
さっきのオンボロ寮を取り囲んでいた群衆の中にルーク先輩は見えなかった。……もしかしてヴィル先輩に似てるってデュースが言ったから？いや、それよりこの状況をどう切り抜けるか考える方が先だ。
「まあ、無理に聞き出すつもりも無い。キミ達に一つ聞きたいことがあるだけさ」
そう言って、ルーク先輩は懐から1枚の写真を出して、オレ達に見せた。
「っ……！」
写真の中で微笑んでいた女性は、紛れもなく……リヒルデさんだった。
「オンボロ寮の噂の女性って、もしかしてこの人だったかな？」
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作者名：虹雪 | 作成日時：2024年2月8日 2時
