episode-13 ページ15
グリムを追いかけて、バスタオル姿の美女が談話室に走ってきた。
辛うじてバスタオル1枚というわけではなく、黒い肩紐が見えるので中に下着を着込んでいるのだろうが、それすらも刺激だった。
更には水分を含んだラベンダー色の長い髪が鎖骨や肩口に張り付き、妙な色気を放っている。オレ達のような、女慣れしていない男子校生にはあまりにまぶしい光景だった。
ただ、印象に残ったのが、美女の肩口から背中に掛けて広がる火傷跡のような大きな傷跡。皮膚が完全に変色しており、これが彼女の美貌に一生付きまとう影となっているのが窺える。
「ユウ、人を入れたの？」
「ごめんなさいっ、僕の友達なんです……」
「友達だからって……私情で動いて貰っては困るわ。現に今日みたいなことになったじゃない」
俺らが美女に浮かされてボケーっとしてる間に、ユウと彼女は揉めていた。事情を全く飲み込んでいないオレとデュースはどうすることもできずに、ただ見守ることしか出来なかった。
「二人にはもう、リヒルデさんのことバレてたみたいで……ほら、窓から声が聞こえたんですって。だから、二人は信用出来る友達だから、いつまでも隠し通すのも無理があるじゃないですか。僕は……ここの生徒でもあるんですから。外と繋がりがある限りは、いくらでも綻びが出来てしまうんです」
「そう、……そうよね。頭ごなしに怒るのも賢明じゃない。君の言っていることは正しいわ。まだ君は学生なんだもの、友達への隠し事は苦しいわよね……そもそもユウには私をここに置いてくれた恩があるのだし、感謝しているわ」
美女が折れたらしい。オレ達も一緒になって叱られなくて良かったと胸をなで下ろした。いや、叱られてもそれはそれで良かったかもしれない。
「君にも君の生活があるということにちゃんと気を配れていなかったわ。ある程度は仕方ないわよね。少人数だもの…」
「ありがとうございます、リヒルデさん……僕がしっかりしていなかったからこんな事になっちゃって」
「いいえ、私達は共に生活しているんだから、私の責任でもあるわ」
思ったより優しそうな人で、オレとデュースは安心した。ユウと概ね話終わると、直ぐに美女はオレ達に方向転換する。
「では改めて、私はリヒルデ・エーレンベルク。君達はユウのお友達？」
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作者名：虹雪 | 作成日時：2024年2月8日 2時
