検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:10,452 hit

3 ページ3

5年前のある日のことだった。

私は当時8歳だったんだ。

いつものように、ドラマの撮影をするためにスタジ

オに向かっていた。

お兄ちゃんも一緒にね!

この頃は、仲が良かったんだよ。

それで、スタジオについて、撮影が始まったんだ。

当たり前だけど、難なくストーリーが進む。

ここで、私1人が主になって、セリフを言うシーン

になったんだ。

『わ、私……本当は怖くって、でも……お姉ちゃん

が、がまん…しなさいって、言った…から。』

ここで、お姉ちゃんの悪事がバレるんだよね。

ああ、終わっちゃうのか。

撮影……楽しかったんだけどな。

ガシャンッ

「彩っ!危ない!!」

お兄ちゃんの声が聞こえるのとほとんど同時に、私

の頭に照明が落ちてきたんだ。

絶対に、あってはならない事故。

私は、ドクンドクンと血の流れる頭を抑えながら、

怖いと思ってしまったんだ。

今までに経験したことのない痛み。

周りの雑音。

スタジオのセット。

揺れる視界でぼんやりと捉えた台本。



怖い怖い怖い。



もう嫌だ。

無理だ。

怖くてどうしようもない。

さっきまで普通だった“景色”が私にとって、恐怖でし

かなかった。

どうしてそう考えたのかは、今思うとわからないけ

ど、きっとパニックになってたんだろう。

倒れる瞬間まで恐怖に怯えていたせいか、目が覚め

たときに、私は舞台に立つことが恐怖になってい

た。

スタジオに行って、それだけで頭がクラクラし

て……台本を読もうとすると、猛烈な痛みが頭を襲

うんだ。

こうなったら、演技どころじゃないから、私は子役

を辞めた。

不思議と、演技自体を怖いと思うことはなかった。

ただ、用意されたセットで決められたセリフを言う

ことが、トラウマになっていたんだ。

誰かを演じるのは、楽しい。

自分ではない、他の人のことを想像したり、演じる

ことで、今まで気づかなかった、新しい自分を見つ

けられる気がするから。

正直、あの日のことはあまり覚えていない。

それが、余計に悪かったのかもしれない。

わからないからこそ、恐怖なのだ。

わからないから、どうしようもない。

照明が落ちて、私の頭にぶつかって……それが自分

に用意された舞台だったから、不安と恐ろしさで、

トラウマになってしまったのかもしれない。

とにかく、本能的に身体中が拒否するんだ。

それから、私の毎日は一変した。

4→←2


ラッキーアイテム

香り付きの消しゴム

ラッキーアルファベット

X


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.6/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
12人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アリス - ありがとうございます!最近更新が遅れてしまっていますが、頑張りたいと思います。 (2020年6月20日 10時) (レス) id: f2ce54f87e (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ソフト - めちゃくちゃ面白いです。どうしたらそんなに面白い作品を描くことができるのでしょうか…応援しています! (2020年6月7日 20時) (レス) id: 8055b70382 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - はい、ありがとうございます! (2020年5月24日 7時) (レス) id: f2ce54f87e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - おもしろいね!5時間前ってくとは、9時かな?更新がんばってください! (2020年5月23日 14時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
アリス - うわぁ!嬉しいです。頑張りますね! (2020年5月23日 9時) (レス) id: f2ce54f87e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アリス | 作成日時:2020年5月22日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。