【ヒロアカ】受動喫煙【男主】 (ページ8)

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8本目. ページ8

｢言ってみ…？｣

耳元で囁く、意図的に吐息を多めにした声
一々びくつく反応が面白い

それはそれで良いのだが、本当に心当たりが無いのか、ずっと"分からない"そんな文字を顔に浮かべている
果たしてその顔が本物なのか、偽物なのか、そんな答えを待っていられる程今は時間が無い

面倒臭い小細工なんて、要らない

｢俺との事、お前誰かに話したろ｣
｢…えっ…？｣

雌の顔から一変、本当に驚いているような顔になるコイツ

常日頃、嘘しか吐いていない俺にとって、相手の嘘を見抜く事は意図も容易い
相手が俺と同じ様に嘘を吐いて生きていなければの話だが

｢おら、言ってみろって｣
｢あ…の｣

コイツは、きっと腹の底から幼いのだろう

嘘は、ついていない
誰にも話してはいないし、きっとあの事を忘れようと日々を過ごしていた

あの噂は別の奴らが勝手にでっち上げたものだろうと、俺は頭の中で完結付け、コイツを解放してやろうと手を退け

｢誰に言ったの？なぁ聞いてる…？｣
｢い"っ！｣

ようとは思わなかった

どうしてだろう
何故だと思う？
コイツを離さないのは

｢…｣

怖いくせに無理して逸らそうとしない強い瞳が

俺も引く程に整った顔が

何も知らなそうな無垢な表情が

俺の腕を脅えながら掴むその手が

何故か羨ましくなって欲しくなったから？

｢は、話して下さい。人…来ますよその内｣
｢別に？来ても別に困る事無いからどうでも良いよ｣

1年にしては低めな声が綺麗な唇を掠って俺の耳へと届く
コイツが話す度に動く喉仏が、いやにいやらしく見えた

俺は、可笑しいのか

また

｢ッ？！ちょ、何して｣
｢…悪い？｣

キスしたい、だなんて