【ヒロアカ】受動喫煙【男主】 (ページ5)

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5本目. ページ5

｢でも私聞いたんです！…だ、から｣

だから記念にキスして欲しい、とでも言うのかこのブスは

お前にキスする位なら壁とキスする方がだいぶマシだ
まぁ直接こんなことは言ってやらないが、俺も人間
嫌なものは嫌

｢…悪いけど、俺はそんな軽い男じゃないよ。大切な人にしかしたくないししないから。この事信じちゃってる人に言ってくれない？

迷惑だから今すぐ忘れろって｣

｢は…はい｣

｢君は早く帰りな、夜道は危険だよ｣

左手首に付いている腕時計は22時を指している
街灯も何も無い道をただただ歩き、さっきの事を思い出す

身体の中から湧き上がる幾つもの感情

仕分けするのが大変な位にごちゃごちゃとしていて、とても醜い
これからあいつをどんな風に扱ってやろう

そう考えるだけで、自然と頬が上がる

噂が立った原因があいつだって決まった訳でも、あのブスから直接名前が出た訳でも無いのに
あいつのせいだって、決まった訳じゃないのに

どうして俺は無理矢理あいつのせいだと思い込もうとしているんだろうか

｢帰り遅くないか？｣

｢…あなたに言われたくないですよ、おっさん｣

｢父親におっさんは無いだろおっさんは｣
｢逆に聞くけどなんと呼べと？｣
｢お父さん、で良いだろ普通に｣
｢はぁ～…早く仕事戻ったらどうですか？｣

すらっと伸びた黒い影から分かるのスタイルの良さ
こちらが嫌になる位に整った顔に、腹が立つ

高そうなスーツに身を包み、革製の鞄を片手に話し掛けてくる高貴な人は、紛れもない自分の父親
でも俺は

｢そんなに俺を嫌うなよ、悲しいだろぉ？｣
｢思ってもない事は言わない方が良いですよ｣

この人の事をこれっぽっちも父親だとは思っていない

気が付けば、ずっと独りで居た

学校から帰って、扉を開けようとしてもいつも鍵がかかっていた
家に入れば誰も居なかった

俺が何をしても、どんな問題を起こしても、逆に優等生だと褒め称えられても
何も無かった

親は、俺に興味が無かった

だけど、それもそのはずなんだと自分でも思う

｢仕事が無いんだったら早く家に帰ったらどうです？お子さんだってあなたの帰りを待ってますよ｣

俺は、1度だって"生まれてきてくれてありがとう"なんて言われた事が無い