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静かに部員を見渡した時、見覚えのある顔が2つ。
オレンジ頭でちっこい1年は俺があの時の血反吐を吐いていた奴だと分かった途端に声を上げて幻を見る様な目でこちらを見てくる。
そんな姿が面白くて、その幼さが可愛らしくて、小さく笑いが込み上げてきた。
そのオレンジ頭の横に居る眼鏡の金髪は興味の無い素振りをしながらも、さっきから何かと目が合う。
ただ、あの人達の姿が後ろに張り付いている様に見えて、あの人達とダブって、話し掛ける気にはならない。
斜め後ろから｢おら練習再開すんぞ｣こんな声が聞こえて振り向くと明らかにガラの悪い大人と目が合う。一気に鳥肌が立ったが、この人と会うのは2回目な訳で。
事前に話を通して置いた方が物事がスムーズに進むと思っていたし、今こんな状況で１から話をするなんて自分が正気で居られない。
鳥養さんと顧問には今頃の入部は茶化しなんかじゃ無くて本気で春高に行きたいという意志がある事とか、自分の潔癖症の程度とか、あと
自分が男性恐怖症である事をきちんと伝えてある。
そりゃあ話すのに心底躊躇ったし、話さなくてもいいって思っていた。
でも、周りの人に信頼してもらって自分も周りを信頼するには自分をさらけ出さなきゃいけない。
自分の弱い所を告白して、護ってもらわなきゃ、俺は1人じゃ強くなれない。克服出来ない。
流石に理由までは言う勇気が出なくて、あまりにも恥ずかしい出来事過ぎて、濁してある。
案の定話した時は驚かれたけれどあの人もいい人だった。戸惑いながらも一緒にやって行こうと言ってくれた。
久しぶりに感じた人の優しさ、大人の包容力に、涙腺が緩んだ事を覚えている。
俺の話を一足先に聞いていた女子マネージャーの清水は俺の全てを知っているからか、適度の距離を保って会話をしてくれるし、さっきもアルコールスプレーを片手にこちらに微笑んで来た。
聞かれたと知った時も、数10分前も、厄介な存在だと思っていたが、事情を知っている仲間と捉えれば力強い存在。
心なんて開いて無い、まだ人が恐い、自分は気持ち悪い。信じて無い、裏切られるのが恐い。
でも
今すぐじゃなくても良いって言ってくれた。
ゆっくりで良いって言ってくれた。
支えると、応援すると言ってくれた。
克服するには、申し分ないほど環境が整っているとそう心から思う。
どうか、俺を嫌わないで下さい。お願いします。
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mikitty(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしています！ (2020年2月7日 1時) (
レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。ノロマの便秘更新ですが応援して頂けると幸いです！ (2017年12月5日 21時) (レス) id: d356dd4e6c (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 凄く面白いです！更新頑張って下さい！！ (2017年12月1日 18時) (レス) id: f7b61362a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩味 | 作成日時：2017年2月11日 16時
