【QK】丑三ミステリー (ページ27)

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・「重力に感謝！」ページ27

side福良

「うわっ！！」
「わぁっ！！__地震！？」
いや、違う。
周りを見渡す。すると、入り口の方から黒い霧のようなのが見えた。もしかして、あれが黒い奴？
「山本！入り口見て！」
「____っ黒いの…！」
やっぱり黒い奴だったか。いつの間にやってきた？
僕が頭に浮かぶ疑問を消化していると、また揺れた。

「あわわっ！！」
「今度は何…！！」
と、上から山本の声がした。

________上から…？

「えっ！？福良さん、何やってんですか！？」
「それは、山本こそ…」
…山本が逆さだ。
見上げると、さっきまで壁だった面に山本は立っていた。勿論、僕も壁だった所に立っている。

つまり、
「重力が…えらいことに…」
「うぇ、変な感じ…」
確かにこのままじゃ酔いそうだ。何ていうの？重力酔い？
「というか僕にばっかり寄ってくるんだけど！」
触れたらどうなるのかは知らないが、山本は黒いのから逃げ惑っている。…黒い奴、長細いな。尻尾の方は千切れそうなほど細い。
そのとき気づいた。
その尻尾は、ドアの下に続いてる。
「アイツ、入り口の下から出てきてない？」
「え？」
「扉の隙間から…」
「確かに…
____福良さん、御札！！」

山本に言われ、僕は無意識のまま御札を上に投げていた。
御札は上へ“落ちた。”

山本が御札を持つと、彼の周りに居た黒い奴らは散り散りになって逃げた。
「そうだ、そのまま__。君達の相手は僕だ」
纏わりつく相手を失った黒い奴らは、僕のところに来る。その間、山本は驚異の速さで扉まで走る。
言うなれば囮作戦。

山本が御札を扉に叩きつけたのが見えた。
すると、黒い奴らは消えた…。
「やりましたね、福良さん！賭けに勝ちましたよ！」

そして、また揺れた。重力が元通りになって、僕の体は床に打ちつけられた。
「いっったぁ…」
「いって…」
打ち所が悪くなくて良かった。
「進んでみますか…扉、開いてそうなので」
山本は腕をさすりながら言った。
「あ、もう行く？」

僕も腰を撫でながら、山本の後を追った。