信念 ページ25
伊沢の口が閉じられる。どうやら話は終わった。
「____っ…そ、それはさ。その、気絶してる間の話…??」
またも静寂を破るのはこうちゃんだった。俺や福良さんが思っていることを代弁してくれる。
「まず、伊沢さんが帰ってきてくれて良かったです」
「どうしてそんなことに…?」
「視えるってところとか…!それはなんで…」
「部屋とかなんなんでしょう…?」
「あと、「はい、こうちゃん質問攻めはやめような」
すみませんでした…。と、こうちゃんは小さくなった。俺もいろいろ聞きたいし、気持ちはわかるけど。そこで伊沢が全く動いてないのに気づいた。
「あれ、伊沢どうした?」
すると河村さんが伊沢に近づく。
「大丈夫そ?」
「なんとか」
どうなっているんだと頭からクエスチョンマークを出していると、河村が話し始める。
「伊沢は…今の話をするとね。恐怖とか寂しさを思い出して泣いちゃうの。だから無理に話すことないって、俺が言うの止めてた。…須貝さんとか福良とか、変に伊沢を疑わせることになってごめん」
そういうこと…?やっぱり聞いたら伊沢は傷ついた…
「泣いてねーし」
福良さんが腕を組んだのが見えた。
「…にしても、どうも信じがたい話だね」
みんなが一斉に福良さんの方へ向く。この人現実主義者だったか!?
「だって、そうじゃないか…自分はみていないんだよ」
「それはそうですけど…!」
こうちゃんが呟いた。
「嘘だとは言えませんけど、信じても怖いですからね」
随分とはっきり言ったなこうちゃん。
…静かな病室にまた戻る。
「俺は信じるけどね…そいつの情報もっとないの?河村」
「須貝さん…」
「残念ながらさっき言ったことが全てでね」
河村は下を向いて言った。
「まぁ信じろって言っても難しいから、居ると仮定して話してくれるだけでありがたいんだけどさ」
伊沢は福良さんに向いて言った。
「現に僕がそうだしな」
と河村が呟く。あ、信じてはいなかったんだ。
「と、まぁ話はこれで終わり!ほら仕事に戻る!」
伊沢が大声で言う。
「僕達は企画会議があるんで…お言葉に甘えて」
「僕も連載書かなきゃいけないんで、帰ります!」
「僕は普通に仕事が終わってないですね!」
そうして俺以外が逃げるようにして出ていった。
「須貝さんは?」
「ああ俺は終わらせてきた」
「お利口さんだな」
褒められてもいまいち嬉しくねぇな。
さっきまで福良が座っていたイスに座る。
「怒涛だったな、情報が」
少し間をおいて伊沢が話しかけてきた。
作者から
CEOの観察日記、完結です。ありがとうございます!!
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作者名:MOKKA | 作成日時:2023年10月17日 8時