20話 ページ21
岳斗side
「もう良いよ……もう良いから……逃げてよ……お兄ちゃん……！ このままじゃお兄ちゃんまで……！！ 」
背後にいる真冬の泣きそうな声を聞いても、俺の意思は固まったままだった。
「逃げるわけ……ねぇだろうが……そりゃあ俺だってよ……さっきまで見てるだけしかできなかった……でも……お前の声が聞こえて……何もせずには居られなくなったんだ……」
「お兄ちゃん……」
マンガやアニメみたいな奇跡が起きるわけねぇのはわかってる。
でも……今はその奇跡を信じるしかねぇんだ。
俺は全ての力を振り絞り、魔隆に向かって走り出す。
俺にはブレイダーのような力が使えないけど
「俺の妹を……」
魔隆に立ち向かえる力は無いけど
「俺の相棒を……」
そんなものはなくたっていい
「俺の家族を……」
無力な俺に
「傷つける奴は……」
今必要なのは
「俺が絶対に……！！ 」
燃え滾る闘志だけだ！！！
「許してたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁああああ！！！！！！ 」
体の中が燃えるように熱くなり、俺の右拳が魔隆の顔面にめり込むと、そのまま魔隆を思いっきり吹き飛ばし、魔隆の体を壁にヒビが入るくらい打ち付けた。
「え……？ 」
「……はっ……？ 」
俺には何が起きたのかサッパリだった。
いきなり吹っ飛んでいってしまって、俺自身も目を丸くしている。
「お兄ちゃん……右手……」
「右手……？ 」
殴った方の右手を見てみると、俺の右手には、炎が纏っていた。
「は……？ な……なんだよ……これ……」
右手には炎が纏ってあるはずなのに、全然熱くなく、火傷すらしていなかった。
「一体何がどうなって……」
すると、吹っ飛んだ魔隆はいつのまにか起き上がっており、俺の方へと向かってきていた。息は荒くなっており、明らかに怒っていた。
「グァァァァァァァ！！！！！」
雄叫びを上げて魔隆は俺に襲いかかってくる。
「こんの……っ！！ 」
全身に激しい痛みが走り、俺はバタッと倒れる。体からもさっきより血が出ていた。
一生懸命過ぎて体がもう限界を迎えていたことに気づかなかったのだ。
「クソッタレ……ここで…終わりなのかよ…」
「お兄ちゃん！！！ 」
魔隆はもう目前にまで迫っていた。
ごめんな真冬……お前を守れなかった……
最後ぐらい……
兄ちゃんらしいこと……出来たかな……
俺は死を受け入れるかのように、目を閉じていった。
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赤猫(プロフ) - くろーさぎさん» はい、ありがとうございます！これからも頑張ってきます！ (2019年7月24日 7時) (
レス) id: 4f3a6e4e78 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - 失礼致します！とても面白いです！！個人的に木下さんが好きです……�兇盍萃イ辰堂爾気ぁ� (2019年7月24日 7時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
赤猫(プロフ) - riiuさん» いいですよ！ぜひぜひ作ってください！ (2019年6月17日 20時) (レス) id: 4f3a6e4e78 (このIDを非表示/違反報告)
riiu(プロフ) - 真冬ちゃん本当すこ……あ、お願いがあるんですが…この作品のスピンオフ的な立ち位置でComitemという作品を作りたいのですが…よろしいですか？ (2019年6月17日 19時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
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