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私が言ったことを理解したのか


山本さんは顔を真っ赤にして


すぐに私から距離を取った


いや、女子か





「え、キス、ほんとに、しちゃった？」





とぎれとぎれの言葉に戸惑いながら


ゆっくりと頷く


一番戸惑っているのは山本さん自身だろう





「ごめん！本当にごめんなさい！」





あたふたしていたと思ったら


今度は盛大に頭を下げて謝ってきた





『なんで、謝るんですか』



「いや、無意識とはいえ


付き合ってもない子にキスとか


それに、嫌だったから避けてたんじゃないの？」



『嫌だった、わけでは


ないです・・・けどただ』



「ただ？」



『初めて、だったので


思い出すと恥ずかしくなっちゃって


それで、なんとなく顔を見られなっくて


避けてしまいました・・・ごめんなさい』



「・・・


ええ！？いや、なんでAちゃんが謝るの！」



『いやその、避けちゃったのは


悪かったなって思いましたし


山本さんのこと、傷つけちゃいましたから』



「いやいやいや！そうなるのは仕方ないよ


うわー、まじか」





山本さんは頭を抱えて


その場にしゃがみ込んでしまった





「俺、酔ってAちゃんのファーストキス奪って


しかもそれ覚えてないって


うわ、俺最悪じゃん」





ころころ変わる山本さんの表情や動きに


今までのことを忘れて


思わず吹き出してしまった





「A、ちゃん・・・？」



『すみません、いつもかっこいい人が


酔ったら可愛くなったり


自分のしたことに焦ったり


なんだか面白くて』



「怒ってないの？」



『怒らないですよ


そりゃ恥ずかしかったですけど


山本さんに悪気はないですし


それに、相手が山本さんだったので』



「それってどういう意味？」



『知らない人とかだったら通報ですね』



「ああ、なんだそういうことか・・・」





一瞬嬉しそうな顔をしたかと思えば


肩を落として落胆している


何を考えているかはわからないけど


本当に面白い人だ






『だから、お互い気にしないようにしましょう


山本さんのこと避けるの


実は結構辛かったんです


お話ししたくてしたくて』



「じゃあ、せめてお詫びに


一緒にでかけませんか」





そう言いながら


山本さんは水族館のチケットを私に差し出した





「ほんとはずっと誘いたくて


でも避けられてると思ったから


こんな形で渡すことになるとは」



『・・・行きます！』

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