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『あ、伊沢さん』
キッチンに立って
水を飲んでいると
伊沢さんがトイレから戻ってきていた
「歓迎会はどうだった?」
『すごく楽しかったです!
これからがさらに楽しみになりました』
そう言うと、伊沢さんは「良かった」と言いながら
また優しく私の頭を撫でた
『伊沢さんは、お兄ちゃんみたいですね』
「っ・・・
お兄ちゃん、ねー」
『QuizKnockにいると
兄がたくさんいるみたいです』
水の入ったペットボトルを戻し
冷蔵庫の扉を閉めた時
横から、男らしい腕が伸びてきて
冷蔵庫の扉に手をついた
『伊沢さ・・・』
振り向こうとする私を
阻止するように
伊沢さんは空いている左手で
私をぎゅっと抱きしめた
『伊沢さ・・・誰か来たらどうするんですか』
「いいよ、誰に見られても」
伊沢さんの低い声が
頭の中に響く
伊沢さんの息が
耳にかかって落ち着かない
「あまりにも鈍感すぎるよ
俺はAちゃんのこと、妹だなんて思ったことないのに」
顔は見えないけれど
伊沢さんの声は震えていた
どこか悲しく、儚い
『それってどういう・・・』
何言ってるの
やめて、聞くな
答えないで
「言わなきゃ、分かんない・・・?」
伊沢さんは
言葉を止めようとはしなかった
・
・
「Aちゃんが好き
ってことだよ」
『っ・・・』
言われなくても
ここまでされて気づかない私じゃない
だけど
まさか、伊沢さんが
そんな風に思ってるなんて考えたこともなかった
『伊沢さん、私・・・』
「何も言わないで」
冷蔵庫についていた右手を
左腕に重ね
抱きしめる力をさらに強める
「言いたいことは分かってる
今は、まだ分からないって言いたいんでしょ?」
『・・・』
図星だった
伊沢さんのことは好き
それが恋愛かどうかなんて分からないし
伊沢さんと同じように好きな人がたくさんいる
そんな曖昧な気持ちで誰かと付き合うことはできない
「俺だって、今すぐどうこうしたいわけじゃない
ただ
どうしても伝えたくなって
俺の気持ちを分かってほしくて」
伊沢さんの声は相変わらず震えたままだった
伊沢さんの中で
ものすごい葛藤があって
今の現状に至ったのだろう
「好きだよ、Aちゃん」
『・・・ありがとうございます』
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Lily(プロフ) - 泡姫さん» ありがとうございます!何度もコメントしてくださり、最後まで読んでくださって本当に嬉しかったです!本当にありがとうございました! (2019年1月18日 21時) (レス) id: 75dd804998 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫 - もう本当素敵すぎます!ありがとうございます。 (2019年1月17日 22時) (レス) id: c29d185bf6 (このIDを非表示/違反報告)
燐音(プロフ) - 泡姫さん» またコメントありがとうございます!川上さん人気ですね、参考になります!ありがとうございます!! (2019年1月17日 7時) (レス) id: ce053a5c30 (このIDを非表示/違反報告)
燐音(プロフ) - kinsakiさん» コメントありがとうございます!なるほど、参考になります!ありがとうございます!! (2019年1月17日 7時) (レス) id: ce053a5c30 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫 - 私も川上さん落ちがいいです! (2019年1月16日 22時) (レス) id: c29d185bf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:燐音 | 作成日時:2019年1月10日 1時