一人で何が悪い？ “消えた自転車は知っている編” 【立花彩成り代わり】探偵チームKz事件ノート (ページ1)

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憧れのKZ ページ1

「今日、KZがうちのグランド使うんだって。」
この一言で、クラスの大半の女子の顔が輝いた。
ちなみに、僕はどうでも良かった。
「ほんとっ！？」
KZ。今、最高にカッコいいサッカーチームらしい。
秀明ゼミナールっていう進学塾が、体も鍛えないと受験に勝ち抜けないからという理由で、自分の塾の生徒たちの中から希望者を募り作ったんだ。
高等部、中等部、初等部の三つのチームがある。
秀明ゼミナール自体が、かなり難しい塾で、入塾テストで落ちる人も結構いる。そのなかでも偏差値70以上でないと、KZには入れない。
つまりエリート集団。
まあ、どうせ秀才チームだから弱いだろって皆がはじめはバカにしてた。
だけど、県主催の小・中・高のサッカーリーグで、KZ高等部&小等部がみごとに優勝。急に注目されはじめた。
母さんがキャーキャー言ってたし、父さんがたっぷり彼らを誉めてた。
多分、他の家庭でもそうだったんだろうな。
ま、そうして、KZはこの辺りのみんなのアイドルになった。
「ほら、いつもなら秀明ゼミの専用グランドなんだけど、あのあたりは、ここのところの雨でまだぬかっててダメなんだって。うちのほうは、そうでもないでしょ。」
夢みたい、カッコいいKZを見れるなんて的な女子の声が聞こえる。
「でも、残念なことにうちの学校にはKZのメンバーって、一人もいないんだよね。秀明ゼミに行ってる人は何人かいるけどさ。」
女子たちがこっちに視線を向ける気配を感じ、ウザイなと思った。
僕は秀明に行ってる。
なぜって？私立のいいところや国立の付属に行きたいから。
そのために、自分にできることを精一杯やって後悔したくないから。
本気でいいとこ目指す人は幼稚園から、行ってるらしいが僕は小3から行ってる。